SS <love and hate> 4

こっちの話にずーーーっと未沙が出てこなくて、
なんか調子狂っちゃうわ~、ってときに、バレンタインの話ができて、
それで弾みがついたようで、<4>もできました~♪

楽しんでいただけると、うれしいです。



*戴いたコメントにお返事しました。(2/22)










      <4>








「じゃあ、私が乗らなきゃ」

見上げる彼女の瞳には、いままでにない強さがこもっていた。
松浦は目を見張る。
彼の知るミンメイとは、なにかが違った。
「これからもよろしくね、レイ」
差し出された右手を握った。
「楽しみにしてる」
松浦も握り返した。
「今日は制服なのね。
帰ってきたばかりなの?」
ミンメイは無邪気に問う。
「いや、これからまた出かける。
その前に会いたいと思ってたから」
「ほんと!
あなたが私に会いたいなんて、めずらしいじゃない!!」
花が咲いたような笑顔に、
彼女を振り払おうとしていた自分の無駄なあがきを滑稽に感じた。
「まったくだ」
苦笑しながら、松浦はミンメイの頬をなでる。
「聞きたいことも、話したいことも、山ほどありすぎるから、急がず行こうぜ」
ミンメイは目を閉じる。
松浦は軽く唇をかさねた。
いままでとは違う淡いキス。
ミンメイはそっと目を開ける。
「これからもよろしくな」
やさしく微笑みあう。

ふいに松浦のケータイが着信を知らせ、彼はミンメイから離れた。


メガロードに乗るため、
荷物を処分した松浦の部屋は生活感がなく、こざっぱりとしていた。
ミンメイは、一台残されていたキーボードの鍵盤を押してみる。
電源が入っていない楽器は、プラスチックの玩具。
なんの音色も聞こえない。
そして、いつかの続きを弾いてみた。
オボエテイマスカ メトメガアッタトキヲ
オボエテイマスカ テトテガフレアッタトキ
ソレハハジメテノ アイノタビダチデシタ
鍵盤をたたく爪の音が響く。
そして突然、音が生まれた。

I love you so.

驚いたミンメイは顔をあげる。
傍らに電話を終えた松浦が立っていた。

もうひとりぼっちじゃない あなたがいるから

松浦が小さな声で続きを歌った。





甘い時間は儚く終わった。
着信はミンメイの事務所の社長からで、二人そろって事務所に向かうことになり、
ミンメイが降りたばかりだった車が、再びエントランスに着く。
二人は素早く乗り込む。
「相変わらず予告なしでやってくるのね、レイ」
助手席のマネージャーは、呆れた顔を向けた。
「善は急げ、って言うだろ?」
松浦は応える。
「ゆったりしている時間がないもんでね。
記者会見の打ち合わせ、もう始めてもいいの?」
「それは社長がいないと無理ね。
それよりミンメイ、大丈夫?
今日はかなりきつかったでしょう?」
「平気よ。まだまだいけるわ。
それに、キツいのはみんな同じでしょう?
私だけ疲れてるわけにいかないわ」
応えたミンメイの様子に引っ掛かりを感じたマネージャーは、
ルームミラー越しに様子を覗い、座席のシートの上で手を重ねる二人に気付いたが、
そっと目を伏せた。






「遅くに申し訳ない」
社長は軽く頭を下げる。
「能書きはいいから、さっさと固めようぜ」
松浦が勝手知ったる様子で、勧められもしない椅子に腰かけると、
他のスタッフから資料を渡される。
「まずは会場、押さえた?」
「明日、いや、もう今日になったな。17時に会見開始だ」
設営などの、詳細な打ち合わせになっていく。
まだ出番のないミンメイはマネージャーに呼ばれ、別室に向かった。




ドアが閉まる。
マネージャーはミンメイに向き合った。
「あらためて釘をさす必要もないと思うけど、確認ね」
ミンメイは小首をかしげる。
「あなた、レイと親密な関係になったの?」
単刀直入な質問に、ミンメイも言葉に詰まった。
「いろんな経験をしているから充分わかっていると思うけど、行動は慎重にね。
相手が相手だけに、一条君とはわけが違う。
今度こそお終いよ」
「そんな・・・」
「私は男女交際禁止なんて言う気は、さらさらないわ。
ただね、まだ20歳にもならないあなたが、
恋愛関係で度々話題に上るのは、いい印象は持たれない。
だから、念には念を入れて。迂闊な行動はとらないで」
硬い表情のミンメイに、マネージャーは笑いかける。
「あなたの気持ちがレイに届いて、私個人としてはうれしいんだけどね」
「・・・知ってたの?」
「まあね。仕事だし。ずっと見てたもの。
それに、きゅーんきゅーんが効かない相手に挑んだってところで、
あなたのことを見直したわ」
ミンメイは吹き出した。
「よっぽど嫌いなのね、それ」
「ええ。アイドルなんか大嫌いよ」
微笑んだマネージャーは、態度を引き締める。
「今が正念場だから、しっかり頼むわよ」
「わかったわ」
ミンメイは素直にうなずいた。





松浦と社長が事前に話し合っていたので、話の進みは早く、
空が白々としてきたころには記者会見用の台本も上がった。
引き続き、ライブの許認可や軍の協力体制についての話に移り、
役割がまだ回ってこないミンメイは、
今のうちに休息をとるようにと、会場のホテルの一室に移動することになった。
お疲れ様、と声をかけ、ミーティングルームを後にする。



エレベーターを待っていると、マネージャーが忘れ物を取りに行くと戻った。
足音がして振り返る。
松浦がエレベーターの脇にある、人気のない階段を指さす。
跳ねるようにミンメイも駆け出した。



非常灯だけがともる、薄暗い踊場でふたりは向かい合う。
松浦はミンメイの額にキスした。
「しばらく会えなくなる。
でも、ずっと見てる。そばにいなくてもな」
やわらかい眼差しは、ミンメイをやさしく包んだ。
始まったばかりの恋の熱が、ここちよい。
「レイもがんばってね」
ミンメイはつま先立ち、松浦に口づけた。



エレベーターホールから、ヒールの足音がした。
二人はゆっくりと離れる。
そしてミンメイはちいさく手を振り、踵を返した。











back                 next




スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

> ぱよぷーさん

ミンメイも幸せになれるといいんだけど(笑)
とりあえず、こんなかんじです♪

No title

> ゆばさん

なんとかここまでたどり着けました~(^^ゞ
あと少し!
がんばりますね~(^_^)/

プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

最新記事
カテゴリ
最新コメント
リンク
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム