SS <コードネーム:JUSTICE>

すごしやすい季節になりましたね。
私も花粉症が終わった!
うれしーーーーーいっ!!

メガロードが飛んで、いろいろ安定したころの話です。
これで新婚生活になるのだろうか?
など、私の中では疑問が渦巻いていますが、
VF-4さん、これが私の精一杯でした(^^ゞ

連休の合間に、かる~く、かる~く、読んでいただけるとうれしいです。



*戴いたコメントにお返事しました。(5/1)(5/2)(5/18)(6/9)








<コードネーム:JUSTICE>







輝の鼻歌を聞きながら、未沙は思った。
・・・もしかして。
そんな気がしないでもなかったのだが、確証はなく、確かめる機会もなかった。
本人に直接切り出すのも、夫とはいえ気が引けて、躊躇する。
が、気になったらはっきりさせないと気が済まない。
何気なさを装って声をかけた。
「ね、その歌、なに?」
「なに、って、私の彼はパイロットだよ」
不思議そうに輝は振り返る。
未沙は額を抑えた。
予想は的中だ。



メガロードが出航し、これといった大きな艦隊に出くわすこともなく、
問題も目立つほどあるわけでもない。
それでも当然のことだが、万一に備え、作戦会議は定例で行われる。
その日の大きな議題は、ミンメイのスタンバイについて。
平穏状態が続いているので、
いちいち彼女の動向を軍に報告することが事務所側としては煩わしく、
そのうえ、軍属ではなく、一民間人の、
協力者でしかない彼女のプライバシーへの考慮も求められていた。
しかし軍としても、ミンメイがどれくらいで歌える状態になるのかで、
作戦の進捗が変ってくるので、
せめて移動時間だけでも確実に把握したいところだった。


「誰でもいいんじゃない?とりあえず歌うのはさ」
輝の何気ない発言に、副艦長の松浦が乗った。
「歌う防衛隊長」
「うわー、それは生物兵器」
場が砕けてきたところに、疲れがたまっていたことと、
若いメンバーが多いので、話は脱線し続け、
いつのまにか輝がバルキリーで歌いながら愛を叫ぶとか、
そのままキスだ、押し倒せ!とか、宴会ノリになっていき、
未沙が音を立てて机を叩き、中断させた。
未沙はなにより、
俎上にあげられてる張本人がげらげら笑っていたのが腹立たしく、
それは別室で厳しく指導することにして溜飲を下げ、
そのときは話を本筋に戻した。


それから機嫌がいい彼から、
なにやらメロディの似たものが聞こえる回数が増えた気がする。
まさか、本気で・・・
未沙は再び額を抑える。


ミンメイアタックが伝説のように語り継がれ、軍に歌の持ち込みが増えた。
断っても芸能プロダクションに持ち込む感覚でやってくる若者は少なくない。
いっそのこと、そっちを利用しようという意味で、輝は持ち出したのだそうだ。
「だから自分が歌いたいとか、全然ないから。
俺の歌がヤバいのは防衛隊、みんな知ってる。
知らなかったの、未沙だけじゃない?」
不安に駆られて問いただした未沙に、輝は応えた。
「ってか、今まで気づかなかったって、すごいね~」
「・・・だって歌わなかったじゃない」
「知ってたもん、自分のこと」
「なんで最近あんなに歌うの?」
「うん、罰ゲームの選択肢に入ってたから、練習。
俺の歌30分聞かされるってヤツ。
しかも起きて手拍子してもりあげないといけない。
なんかさぁ、命令したりとか、疲れんだよね。これで済むなら、楽なもんだ。
しかも、すげえ効果あるんだぜ」
未沙はこぶしを握る。
「あなたにプライドはないの!?」
「いいじゃん!うまく歌わなくていいんだし!!」
輝はにっこりと笑った。


未沙の思いなど、まったくお構いなしで、
輝は気持ちよさそうに調子っぱずれを口ずさむ。


本人がいいというものを、なんとかしようなど、
おこがましいとはわかっているが、
夫婦だから、家族だから、親身になれるのは自分だけ、と、思い直す。
幼いころからピアノを習い、ピアニストとは言わないが、
学校の発表会程度には弾きこなせ、音楽の心得がないわけではない。
輝の音程の狂いを矯正しようと、心を決めた。



「最近、音でかい」
家に帰りついた輝が、キッチンに顔を出した。
先に帰った未沙は、食事の支度をしながら、音楽をかけていた。
輝が少しでも音になれるように、おぼえるように。
聞き流す、ではなく、気に留められるように、それなりの音量で流し続ける。
「そうかしら?」
今、初めて気づいたといった顔つきで、輝を見る。
「あんた、耳、悪くなったんじゃないの?そんな齢じゃないだろ?」
眉を寄せながら、音下げて、と言い残し、輝はバスルームに向かった。
わかってくれないものね、と未沙はため息をつく。

エンジンや、機体の調子を音の高低で聞き分けたり、
それを整備士に伝えるので、輝は音感に問題はないはずだ。
しかも未沙自身もそのやり取りを聞いたことがある。
大体、リズム感が悪かったら、とっくにお亡くなりになっているだろう。
未沙は首をひねる。
なんであんなに、しかも微妙に外れていくのかしら?
音痴の直し方を探してみると、録音した自分の歌を聴かせて、
正しい音階を覚えさせるなど、本人の意志が必要とされるもので、
輝が進んでやるとは思えない。
デリケートな問題故に、正面から切り出すのもはばかられ、未沙のため息は深くなる。

それでも未沙は思う。
訓練で直る可能性もあるのだから、いっしょに試そうと。

食後の片付けを終え、テレビを見ながらくつろいでいる輝の脇に腰を下ろす。
さすがに切り出しにくく、未沙もテレビの画面に顔を向ける。
他愛のないバラエティ番組の、
水増ししてある観客の笑い声が、けたたましく流れていた。
「ねえ」
輝を見ずに未沙は声をかけると、彼は首を少し傾けて返事をした。
「上手に歌が歌えると、いいと思わない?」
「なんで?まさか、あんたまで歌手になる気?」
ふざけ半分に、彼は応える。
「そんなんじゃないわよ。
ただね、そのほうが気持ちいいんじゃないかな、って思ったから・・・」
「ちゃんと歌うって、めんどくさいじゃん。
プロじゃないから、楽しめれば、適当でいいんだよ。
未沙、しつこい」
輝はテレビに視線を戻し、億劫げにあしらう。
その態度に業を煮やした未沙は、
テレビ画面の前に身を乗り出し、彼の目を捕らえて言い放つ。
「音痴は直るのよ!!」
勢いに驚いた輝は、きょとんと目を見開いて応えた。
「誰が音痴なの?」
「あなた、自覚がないの!?」
呆れた未沙は、眦をあげて叫んだ。

輝は音を立てて吹き出した。
腹を抑え、ひーひーと息をするのも辛い様子で、笑い続ける。
「ちょっと!
なんなの、その態度は!!」
怒りで顔を赤らめ、未沙は立ち上がる。

しょうがないなあと、輝は歌い始める。
それは、いままで未沙が耳にした、不快なメロディではない。

「普通に歌える・・のね・・・」
力が抜けた未沙は、床にぺたんと座り込む。
「専門的なことはわかんないけど、
聞いてて気持ち悪くなるくらいにずらして歌えるんだよ。
一回やったらウケたんだ。
その時、絶対音感とかいうのを持ってるやつが、逃げ回って面白かった」
輝は膝に両肘をつき、顔を乗せて、未沙と視線を合わせた。
「心配してくれたんだ?」
早とちりだと気づき、バツが悪い未沙は、目線を斜め下に落とす。
「・・・早く言ってよ、もう!」
「俺のこと、心配だったんでしょ?」
顔も近づけると、顔を赤らめた未沙は、口調を強める。
「もう、いいじゃない!しつこいわよ、あなた」
「ね、どうして?」
「知りません!」
未沙は立ち上がる。
そのままキッチンに向かうも、輝を振り返った。
「そんなこと言えるの、私しかいないって思ったからよ」
早口でそれだけ言うと、踵を返し、バスルームに駆け込んだ。

輝も立ち上がる。
「みぃーさっ!」
彼女の後を追う。





扉に手をかける寸前で、鍵がかかる音が冷たく響いた。













fin








                                    









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非公開コメント

No title

> ゆばさん

そうそう、お風呂はダメだったの。
しかし、そんなことで輝はめげない、強い子だと私は信じてます!

バルキリーのエンジン音とかを、
今日はこんな~、いつもより低くてさ、
ってやってるうちに、あれ?歌みたいだな~!
みたいなかんじで気付いて、
時々思い出したように歌ってるのを見かけた未沙が悩んじゃうと(笑)

お互いの知らなかった一面を見つけながら、
夫婦になっていってほしいです~(*^^*)

MISS D.J.の「風に吹かれて」は本当にいい!!
「遥かなる想い」は聴くのに勇気がいるけど(笑)
CD、買っちゃおうか、って時折魔が差してます。
(でも踏ん張ってる!!)

No title

> VF-4さん

やはり現場の音は大きいのですね(汗)
書き終わってから、うおおおおっ、プロ、いたー!!
って、こっぱずかしくなったことを、ここにご報告します(笑)

そして、輝はマイペースなので、
はたして未沙の行動に敏感なのか、
そのへんは首をかしげてしまいますが、
そこがいいのです~(#^^#)

GWですので、お体、ゆっくり休めてくださいね。お大事に。

No title

> ぱよぷーさん

意識的に気持ち悪くなる程度に外すって、できませんよね!?
なので、話題に上ったということで(笑)

No title

> VF-4さん

楽しい想像をしていただけてよかったです♪

素晴らしいところに行かれるのですね~っ。
うらやましいなぁ。
お体に気を付けて、頑張ってください。

No title

> 敦賀屋バボさん

いやいや、三度目のコメントですよ!
本隊に合流はできましたか?

パイロットに限らず、機械を扱う人たちはよく音で調子を聞き分けるから、
これもありかしら~、って思った次第です。
そして、バスルームはトイレでもあるけど、
今回はお風呂場、ってことでよろしくでーす。
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

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ご活用ください♪

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