SS <what do you say?> 1

ほぼ月刊化している更新です(汗)
今回からしばらく劇場版を。

たまたまひとりになれる時間があって、
「うひょー、チャンス到来!」と「愛おぼ」見てました。
そこで、気になってしょうがない部分を発見。
それからは、DVD特典の絵コンテ集やら、金色の本やら
ひっくりかえして大騒ぎになってました~(*^^*)
一応つじつまはあってるはず!なんだけど・・・(◎_◎;)
それでも詳しいことはほとんど載っていなかったので、
私の推測のもとで書きました。
ご了承くださいね。

まだまだ納得いかない部分もありますので、
更新後、加筆修正することもあるかもしれませんが、
お気になさらず、楽しんでいただければうれしいです。



* 戴いたコメント、拍手コメントにお返事しました。(5/26)(5/29)(8/6)









    what do you say?   <1>







男は機体から抜け出し、ミリアを見上げていた。
肩で息をしながら、つぶやいた。

彼は小さく、手を伸ばせばひねりつぶすのは容易い。
しかし体を起こす力もなく、初めて耳にした響きが残り、
聞き取ったままの音を唇にのせた。
顔にかかった長い緑色の髪が、一筋流れて落ちた。
彼の瞳は、まっすぐに自分を捉えている。

意識が途切れていく。


かなりの量の出血を伴う傷は、表面上は早々に回復したが、
内部組織の完全修復には、今少しの時間が必要だった。
戦闘でここまで大きな傷を負ったことのないミリアは、
忌々しげに眉を歪める。
「あのマイクローンはどうなった?」
下士官に問うと、いつでも尋問できるようになっていると告げた。


ガラスケースに入れられたマイクローンは、
落ち着いた様子であたりを見回した。
外見は体の大きさ以外、ミリアたちメルトランと変わらない。
「名前は」
「マクシミリアン・ジーナス」
ミリアが尋ねると、彼は一歩踏み出し、視線を合わせてきた。
その瞳に緊張はあるが、怯えはない。
「この星の現住生物ということだな」
「僕は地球人だ。その言い方は好きじゃない」
翻訳機は正常に作動している、と、立ち会う士官が告げた。
「君のケガはもういいの?」
臆することなく、彼がミリアに語り掛け、周りの兵士たちはどよめく。
「お前はこの状況で、敵である私に何を問うのだ?」
彼の予想外の反応に、
ミリアはケースを外すと、片手でつかみ上げる。
「いつでもひねりつぶせるぞ」
目線まで持ち上げるが、彼は様子を変えない。
ケースから出したので、翻訳機の作動範囲から外れ、
言葉の意味がわからないのだろうが、
雰囲気や気配から、生命の危機を感じてもいいはずなのに、
彼はミリアを見つめ続ける。


そして、ミリアはふたたび、あの言葉を聞く。


「だから一体、それは何だ!」
ミリアは握った手に力を入れる。
掌の彼が苦しそうにうめくので、少し緩めた。
殺してしまうにはまだ早く、聞きたいことはたくさんある。
ゆっくりとマックスをケースの中に戻す。
「私の言っている意味が、わかるか?」
激しく咳き込み、やがて大きく息をついたマックスは、ミリアを見上げてうなずく。
「自分の置かれている状況がわかっているのか?」
「もちろん。
お互い、知りたいことがたくさんありそうだ」
「その緊張感のない有様が、お前の軍の流儀なのか!?」
まったく様子の変わらないマックスに、ミリアは声を荒げた。
しかし、マックスはちいさく首をかしげる。
「個人の問題、かな」
「個人?なんだ、それは」
「軍全体ではなくて、僕だけに限ったこと、ということだ。
それより質問を受けるばかりでは、僕も面白くない。
まず、君の名前は?」
たったひとりで、しかもちいさいなりで、堂々と渡り合ってくるマイクローンに、
ミリアは強い興味を持った。
「ミリア639」
「ミリア、でいいかな。
僕のことは、マックスと呼んでくれ」
彼は、人懐っこそうに、周りの女性兵士たちにも微笑みかけるが、
彼女らはどよめきながら後ずさる。
自分でも意味が分からずに顔を赤らめるものもいる中、
ミリアだけは冷静に腕を組み直した。
「よかろう、マックス。
まずは、貴様らの目的から、話してもらおうか」
マックスは真顔に戻り、少し考え込んだ。
「目的は、母星に帰還することだ。
我々は、不運にして戦闘に巻き込まれた民間人を収容している。
民間人を安全な場所に避難させることが、最優先させる事項と聞いている」
「みんかんじん?」
「戦闘を行わない者のことだよ」
「戦わない者が、生きていくことを許されるなんて、
そんな馬鹿な話があるか。
貴様、私をからかっているのか?」
嘲笑気味に言い放つミリアの目を、マックスはとらえる。
「戦わないと、君たちは生きている価値がないの?」
「あたりまえだろう。
戦力にならぬものを生かしておくほど、甘い世界はどこにもない」
マックスの瞳に、ミリアが見たことのない色が浮かぶ。
それはミリアの心を、不愉快にひっかいた。
「僕らの世界では、職業として戦う者と、そうでない者がいる。
僕の職業は戦闘員だけど、食べるものを作る者、着るものを作る者など、
みな、役割があり、そこで対価を得て生きている」
「私には、お前の言っている意味がよくわからん。
食料も衣服も、みな軍内で賄われていて、対価なども不要だ」
「それは君の世界での話で、
僕らは、みな、自分のできることを生業にして、協力して暮らしている。
男も、女も」
彼の瞳に力がこもる。
「守るべきもののために、戦闘ではないやりかたで精いっぱい生きている」
ミリアはその気迫に押され、息を呑んだ。
「知らないことが、たくさんあるね。僕たちは」
マックスは、別人のようにやわらかく微笑んだ。


艦長室のモニターから彼の様子を覗うに、今は休んでいるように見え、
あれでも緊張があったのかもしれないとミリアは思った。
男と女がともに暮らす、戦わない人間のいる世界。
そんなものが実際に成立していることが、ミリアには信じられない。

ふたたびモニターに視線を向けると、
偶然、カメラに顔を向けた彼の、レンズ越しの瞳が映し出された。
それは意識がなくなる直前にまっすぐ向けられたまなざしと同じで、
胸の中がかき乱される。



振り払うように軽く頭を振ると、モニターのスイッチを切った。






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非公開コメント

No title

> くまおさん

ありがとうございます。
月刊化している更新ですが、
細々と続けていきますので、よろしくです!

No title

> ゆばさん

うひひー、やっちゃったよーん(^^)v

その、もしもですが、
未沙とキスしたマックスが、『責任取らなきゃ!』って
凄く口説いて、付き合い始めて
その後、ミリアと運命的な出会いをして悩んじゃって、
ここでもちゃんと三角関係成立。ばっちり!?
なーんてことを連想しちゃいましたよー(笑)
…てか、こうやって書いてみると、
一昔前の、夜10時台のドラマだね(^_^;)

No title

> ぱよぷーさん

はーい、マクミリ~(笑)
続きはいつもどおり、のんびりでございます~(^^ゞ

No title

> 拍手コメント 15/05/28 23:08 さん

ありがとうございます!
大雑把で申し訳ないのですが、一か月以内に次回をUPします。

劇場版はTV版よりも二人の資料が少ないので、
見つけると「やったぁ!」という達成感もついてきて
楽しさ倍増で~す(^^)v

No title

> 敦賀屋バボさん

相手はマックスですよ、惚れますって!!
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

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ご活用ください♪

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