SS <what do you say?> 2

劇場版は輝と未沙、ミンメイを中心に描かれているので、
マックスとミリアのエピソードがほんとに少ない。
描き方としては、それもひとつの方法なのですが、
TVと違って、いきなりマックスがデカくなってた(苦笑)
「ミンメイの歌だ」っていうまでの間に、一体何があったのーーーー!
というところが、この話を書くきっかけになりました。

それも、何度も何十回もみて、ようやく気付いた。
どれだけコーフンして三人のことを追っかけていたのでしょうか(大汗)



楽しんでいただければ、うれしいです。


*戴いたコメントにお返事しました。(6/9)(6/13)


   


      <2>





いくらもしないうちに尋問は再開されるだろう。
今、このときも監視されている。
マックスは膝を抱えて座り込み、休息をとるふりをしながら視線の主を探す。

無断で宇宙に飛び出して一か月近く行方不明になり、マクロスに帰還した輝から、
ゼントラーディ軍のようすは聞いていた。
男と女、それぞれが別の世界を作っていること、戦うことがすべてであること。
そのあたりを踏まえて尋問に乗りつつ様子を探ってみるが、
メルトランディと呼ばれる女性だけの軍も、
根本はゼントラーディ軍と変わりない環境であるらしい。
自分が生きてここを出るために、有利に働くものは何か?
それだけに集中したいところなのだが、
ミリアと名乗るパイロットが艦長を務めていたことは予想外だった。
流れる長い髪、凛々しい目元に艶やかな唇。
今まであんなに美しい女性はいなかった。
彼女の一挙一動に惹きつけられてならない。

彼女らがその気になれば、文字通りひとひねりで潰されてしまうのに、
相反する想いが彼の中でもつれあう。



ほどなくしてミリアと記録官が二人、マックスのガラスケースを取り囲む。
「プロトカルチャーを知っているか?」
前ふりもなくミリアが切り出し、聞きなれない言葉にマックスは一瞬眉を寄せた。
「それが?」
「プロトカルチャーの遺跡から、なにを持ちだした?」
遺跡と言われて、記憶の糸が結ばれる。
「僕らの仲間が二人、救出されただけだ」
もっと情報を引き出すキーワードが近くに転がっているはずと、慎重に言葉を探す。
「その仲間は、なぜあそこにいた?」
「それは僕にもわからない。あの場所が何であるのかも」
ミリアは苛立たしげに鼻を鳴らす。
「まあ、いい。お前がすべてを知っているとは思っていなかったからな」
「君と違って、位は高くないからね」
「あれほどの腕を持っていてもか!?」
零れんばかりに目を開いたミリアが顔を近づける。
「戦闘能力がすべてじゃないんだ」
「悔しくないのか?」
「別に。相応に評価は受けているしね」
「わが軍ならこれと同じくらいの艦が持てるのに。
見る目がないぞ、お前の司令官は」
呆れた顔で、ミリアはマックスを見下ろす。
「僕は軍に入って、日が浅い。
艦長なのに前線に出撃している君の方が大胆だよ」
マックスが片方の口角をあげる。
「なかなか面白いことをいうな」
ミリアは愉快そうに眉をあげて、マックスに視線を合わせた。
媚びる甘さが微塵もなく、潔いミリアのすがすがしい様子は、マックスをより強く惹きつけた。

「映像電波を傍受しました」
知らせを受けたミリアは体を起こす。
この艦が地球から遠く離れた地点にいるらしく、
乱れがちのメインモニターはミンメイを映した。
マックスは目を見張る。
「・・・生きてたんだ」
ミリアが振り返る。
「おまえの知り合いか?」
ああ、とうなずく。

ノイズ交じりの画面のミンメイは、驚いて目を見開いていた。
画面は切り替わり、マックスのよく知る二人が、正装で壇上に並んでいる。
駆け出して輝の胸に飛び込むミンメイ。
ただ立ったまま、動かない輝。

輝が視線を動かすと、その先にはきつく唇をかみしめた未沙がいた。
ミンメイは顔をあげ、唇を彼の名の形にちいさく動かしながら、彼のまなざしをたどった。
三人の視線が絡まる。
互いを見つめあい、動けない彼らを、カメラのストロボは容赦なく照らし続ける。

マックスは息を呑んだ。

輝と未沙はもともと仲がよくなかった。
上官である未沙に、平然と口答えする輝はバルキリー隊でも有名で、
度が過ぎるたびにフォッカーが諌めていた。
「あれでも女かよ」
ふたりが衝突するごとに輝がこぼしていたのを、マックスは何度も耳にしている。
しかし帰還後の輝は、未沙を支えるような、見守るような雰囲気を漂わせ、
また、彼女も穏やかなやわらかい表情を向けていた。
ふたりから現在の地球の詳しい話を聞くにつれ、
過ごした日々が想像以上の厳しかったことを知り、温厚なマックスでも、
面白半分で下世話な噂を立てる輩を片っ端から殴りつけたくなることもあったが、
それすらも気に留めずに、普通に日常をおくるふたりがまぶしかった。
マックスにはまだ、物語の世界にしかなかった『愛』という言葉が、
帰還後のふたりの姿と重なる。
いつか自分も、そんな相手が見つけよう。
柿崎とことあるごとにぼやきあっていた。

その柿崎は、目の前の美女にあっけなく撃ち落とされた。

マックスは、硬く、強く、拳を握る。
柿崎は落とされたが、自分も彼女の仲間を手にかけている。
負の感情は意識すればするほど心を押しつぶし、苦しくなっていくが、
いまはそれを考えるときじゃない、と思い直す。
荒れた感情を収めるため、大きく息を吸い込んだ。


メインモニターでは三人が舞台を降り、映像は途切れた。


あたりを見回すと、メルトランディの兵士たちは立ち尽くしていた。
腰が抜けたように座り込むものもいる。
『ヤック』と、口々につぶやきながら。


一瞬は呆然としたものの、ミリアはいち早く我に返った。
「これはいったいどういうことなのだ?」
「情報はこれしかないの?音声は?」
冷静にマックスは応える。
「フォールド中のことで、うまく受信ができなかった。
それより、なぜあの女は、男に抱きついたのだ!
あれがお前たちの世界では普通のことなのか!?」
ミリアは激しく迫る。
「会えてうれしかったんだよ」
マックスは言葉を区切る。
なにも写っていないスクリーンを見つめた。
「ゼントラーディの艦でずっと頑張ったんだな」
「ちょっとまて!
あの女はゼントラーディにいたというのか!!」
ミリアの表情がよりけわしいものになった。

行方不明のミンメイがいる。
輝と未沙は礼装で舞台に上がっている。
…女が男に抱きつくだけで、騒ぎ出す兵士たち。
マックスは状況を整理した。
慎重に言葉を選ぶ。

「和平交渉、かな?」
ミリアは眦を吊り上げて顔を近づけてくる。
「和平だと?」
「だから捕虜になっていた彼女が、マクロスにいる」
「それは確かなのか?」
「いまの情報だけを元に、僕が判断したことだけどね。
この映像の全体とか音声があれば、もっとはっきりしたことがわかる」
彼女はふたたび指示を飛ばした。
動揺していた女性兵士たちは、
ミリアの気迫に正気を取り戻し、それぞれの任務に励みだした。











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No title

> ゆばさん

勢いでどーんといっちゃったよー(^_^)

なーんにもしらないメルトランのお嬢さんたちには、
強烈な印象があると思うのですよ!
ましてや敵方と和平成立となってたから、
動揺しっぱなしじゃないかな~?って。

このあとに流れ落ちるコーヒーの修羅場本番がくるわけだけど、
丸一日、あるかないかだろうなぁ、と思う。
そのあいだにでっかくなって、クアドラン・ローまでカラーリングしていて、
マックス、ほんとに、どうやってミリアを・・・(+_+)

No title

> あまみさん

マックスがおどおどしたり、怖がったら、
ミリアは速攻で殺してたんじゃないかな~、と
思うのですよ~。
部下たちもミリアの様子から、
なんかすごいのかも、って雰囲気を読んで
じっと見守っている、そんなかんじでーす♪

あの短い時間で、どうやってでっかくなった、マックス!!
考えるほど、謎は深まる一方です(笑)
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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