SS <escapade>

九月になりました。
更新止まってます(大汗)
それなのに遊びに来てくださって、ありがとうございます。

マクミリの話を完結させたいのですが、なかなか納得がいきません。
でも終わらせます!もうしばらくかかります。

今回はぽっと思いついた話が形になりましたので、UPします。
続き、ありません。
短い、短い話です。

楽しんでいただければ、うれしいです。




*戴いたコメントに、お返事しました。(9/6)(9/14)







<escapade>





あたたかく、すこし湿ったなにかが軽く顔を叩く。
何か起きたのかと、目が覚めた。
「髪を、結ってクダサイ」
大きな瞳が私を覗きこむ。

驚きすぎると声が出ないというのは、きっとこんなかんじだ。
見たことのない、
だけど、どこかで会ったような気がする女の子の顔が目の前にある。
「あなた、どこから入ったの?」
声を裏返しながら、できるだけ冷静に聞いてみると、
彼女は一瞬真顔になり、笑いだす。
「へんなのー。ドアに決まってるでしょう?
ね、早く起きて、起きて。
ここをこーんなふうにしてね」
肩のちょっと下くらいの、黒くてクルクルとカールした髪を、両耳の上で両手で束ね持つ。
彼女の頭越しに、部屋の中を見回す。
見慣れた壁に天井。軍の宿舎なのはわかる。
ドレッサーは確かに自分のものだけど、ほかに見慣れない家具がいくつか並んでいる。
「ちょっと!お話してるひとをちゃんと見なさい、っていつも言ってるのに、どういうこと?」
彼女は腕を組んで仁王立ちになり、不服そうに鼻を鳴らし、時計を見ると、
まだ状況がつかめず、ベッドの上にいる私の左手を掴んで揺らす。
「もう出かける時間になっちゃうから、急いでよぉー」
ふたたび感じるあたたかさ。
薬指には既婚の証の指輪。
いつはめたかもわからない、見たこともない指輪。
状況を整理する間も与えない女の子は、思いもかけない力で私を動かした。


導かれるままリビングと思われる部屋に入ると、
全く知らない場所のような、親しみがあるような、相反する気分になる。
写真立てがいくつか並んでいるコーナーがあり、
目を凝らすけど、映る人のはっきりとした顔は見えない。
隣接するキッチンらしき場所からは食器のふれあう音が聞こえ、
誰かがいる気配がする。
声をかけようとすると、彼女は口許に指を立てた。
ソファの前のテーブルに、ブラシと、ピンやシュシュが置いてあった。
わたあめを思わせる淡いピンクのポンポンがついた髪ゴムを私に手渡すと、
その場に正座をして、振り返る。
「時間ないから、ね」
私が膝を折り、ブラシを手に取ると、彼女は笑顔になった。
この子が誰だとか、ここはどこなのか、どうでもよくなってしまうくらい、うれしくなる。
満足そうにちいさな背中を向ける彼女の、ふわふわな髪に触れた。

「違うの、もうちょっとこっち」
真剣に鏡のなかの自分を見つめ、彼女は眉を寄せる。
「そこだと短い髪がこぼれちゃうから、まだ無理よ」
ピンでおくれ毛をとめるにしても、量が多すぎてこぼれ落ちる。
「ここがかわいいと思うわよ、私は」
鏡の彼女は口を尖らす。
「もうちょっと待ちましょう。髪はすぐ伸びるわ」
尖った口は、ゆっくりとゆるんでいく。

誰かに似た顔。
誰なのか、知っているはずなのに思い出せない。
「せっかく眠ったばかりだからダメだって言ったのに、ママを起こしちゃったのか!」
男の声がして、女の子はびくりと肩をあげた。私は振り返る。





自分の上げた声で目が覚めた。





ありえない。

絶対無理。

強く目をつぶり、両腕で覆う。
このまえ、暴走させたサラ基地から私を救い出してくれたけど、
いつもの失礼極まりない態度は、簡単にゆるせるものじゃない。
そんな彼と、私が?
あの女の子は、私たちの子?
それに彼には、おつきあいしている女の子がいたはず。


そこまで考えて、可笑しくなってくる。
たかが夢に、真剣に突き詰めすぎた。
時計は勤務までまだまだ時間があることを教えていたし、
第一休めるときに休まなければ体がもたない。
体調管理も任務のうちだ。
寝返りを打ち、もう一度体勢を作ると、意識は眠りに溶けていく。


あの子の髪の感触と、ふれあった小さな手のあたたかさを、
夢とは思えないくらいリアルに感じたことを不思議に思いながら。







fin







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非公開コメント

No title

> VF-4さん

和んでいただけてうれしいです♪
未沙の心の中で、
輝は「またアイツね!もう!!」レベルの認識しかないと思いますが、
時空のひずみのいたずらってことで、楽しんでくださいねー(^-^)

No title

> 素振りさん(2回分です)

はじめまして~♪ ぶいともうします。
過分なお褒めのお言葉と、はなまる、ありがとうございました。
何度も読み返していただけて、わたしもうれしいです。
と言いつつも、粗が目立ちそうで、ちょっとひやひやしてますが。

まだまだ輝と未沙を書いていきたいと思っていますので、
よろしくおねがいします。

No title

> ゆばさん

夢の中って、つじつまあわないことも受け入れて進んでいるから、
そういう雰囲気を出したかったの。
その、へんな空気感が伝わってうれしーい(笑)

輝もおなじタイミングで、おなじような夢を見て、ふたりで飛び起きて
「ありえない」って言ってたらおもしろいな~。
Firstじゃ、「オバサンと心中なんてありえない」っていってた時期だもんね。
そんなふたりが、「それでもいいんじゃない?ひとりぼっちじゃないんだから」
ってどういう風に言うのか、なるのかが楽しみなんだけど、
そこにたどり着くまでに、あと何年かかるのかな(苦笑)
ひたすら待つしかない!!

No title

> ぱよぷーさん

意識するのは、ファーストコンタクトだと思うので、
「なんか嫌ね」って寝直して忘れてる、そんなかんじで!(笑)
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

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ご活用ください♪

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