SS <what a wonderful world!> 1

「愛は流れる」から「マイアルバム」までの、『空白の二年間』を書きたくなりました。
とびとびになるかと思いますが、
今回は戦後落ち着き始めたころで、「マクロスクラシック」の前を想定しています。
そんな日があったっていいよねー、ということで。

そして、お酒は20歳になってから。


楽しんでいただければ、うれしいです。





*戴いたコメント、拍手コメントにお返事しました。(5/18)(5/24)













           <1>    





*14:23


「アラスカから助けて出してもらった、借りを返すわ」
まじめな上官はモニターから、早口で彼を食事に誘った。
あの日からかなり時間が経っていて、今更そんな口実は不自然だが、
それがないと切り出せなかっただろう彼女の性格を微笑ましく思った。
「今日はマックス達と先約があるんです。よかったら、大尉も一緒にどうですか?」
予想外の切り返しに未沙はすこし戸惑ったが、ゲートで待ち合わせることになった。


*18:55


「うわっ!誰かと思った!!」
輝の声に、淡い黄色のワンピースに白いカーディガンを羽織った未沙が振り返った。
ふわりとスカートが揺らめく。
何度か私服姿は見ているのに、なぜか照れくさい。
「まったくもう、あなたってヒトはいちいち・・・」
未沙は輝を軽く睨み、行きましょう、と、先を促した。
「マックスのほかに、誰が来るの?」
「ミリアだよ。あ、大尉、焼肉でよかった?」
「大丈夫よ、嫌いじゃないわ」
「せっかくの可愛い格好なのに、すみませんねえ」
未沙はすこし不服そうに輝を見た。
「普段着ですから、ご心配には及びません」
はいはい、と輝は訊き流す。
「でも、どうして今日は焼肉なの?」
「なんかのときに、焼肉食いたい、って話してたんだ。
そしたらミリアが、肉を焼くのは同じなのに、ステーキと焼肉は違うのかと言い出してさ」
「説明するより、実際食べたほうが早いものね」
「三人都合がつくのがたまたま今日で、大尉が誘ってくれたのも今日で」
「迷惑だったかしら?」
「いや、人数多い方が楽しいじゃん」
輝が笑うと、少し曇った未沙の表情も晴れた。


食糧の調達は大きな問題で、
艦内の一般市民の不満が芽生える前に手を打たねばならなかった。
地球が壊滅し、補給先を失ったマクロスは、
ゼントラーディのバイオテクノロジーの利用をブリタイ・クリダニク艦隊に依頼し、
野菜・果物といった農作物と、牛、豚、鶏といった食用の動物の安定供給が可能になった。
安全性が確認できるとすぐに軍は民間に提供したので、
飲食店が営業を始め、街に活気が沸き始めている。


目当ての店は、雨が降らないマクロス艦内、
煙が籠らなくていいといわんばかりに壁は低く、屋根がない。
それはキャンプ場を思わせた。
カセットコンロを改良した鉄板付きのグリルが簡易テーブルに置かれていて、
丸椅子が囲んでいる。
「なかなか面白そうね」
「ああ。俺も初めて」
店内の20近くあるテーブルはほとんど埋まっていて、食欲をそそる香ばしい匂いが漂う。
「こっちです!」
手を振る私服のマックスを見つけ、ふたりはそこを通り抜けていく。
「早瀬大尉もご一緒だったんですね」
マックスはさわやかに、しかし意味ありげに微笑む。
「お邪魔させていただくわ。ミリア、よろしくね」
未沙は気づかぬふりをして流した。
「大尉、いろいろ教えてください」
とろみのあるブラウスに紺のフレアスカートを合わせたミリアが心から嬉しそうに笑い、
未沙の表情も柔らかくなった。
「そういえば、仕事以外であなたとお話しするのは初めてね」
「いつも顔を合わせているから、気づきませんでした」
未沙はミリアの隣に、輝はマックスに並んで腰かける。
「とりあえず、ビール4つ!」
輝は手をあげて、オーダーを入れた。
「ちょっとあなたたち、まだそんな齢じゃ・・・」
「大尉に言われたくないな。かなりお若い時からたしなまれていたとか?」
「あ、僕達は既婚者ですから。成人したとみなされます」
「どこの法律よ、それ」
「軍規にはない。私は問題がないと思う。本人の判断によって飲んではダメなのか?」
真顔のミリアの発言に、男二人は深くうなずく。
「ミリアはまだ15歳でしょ?」
「年下と言っても、ミリアは生まれたときからこのまんまです。
そういう意味では、我々よりずっと前に成人しているんですよ」
「そういう屁理屈いうもんじゃないわよ、マックス」
未沙が騒いでいる隙に、ジョッキは置かれる。
「ほら、早瀬さん、ちゃんと持って。それではカンパーイ!」
話をうやむやにした輝がジョッキを掲げると、マックスとミリアもそれに倣う。
三人に流されるように、ため息をついた未沙も掲げた。
「で、一条中尉。何に乾杯なのだ?」ミリアが問う。
「焼肉―っ」
軽快に輝は応えた。











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非公開コメント

No title

> ゆばさん

ありがとーっ!ソッコーで直してきたっ(大汗)

そうそう、これがあんあんっ、って・・・ちがーうっ(笑)
だといいんだけど、まだ私はそこまで書けないっ!!←力説
ぎ、技術がございませぬ~(;^ω^)

その後、もうちょっと待っててね♪
なるべく早くUPする!

No title

> misarinさん

予告と言うわけでもないのですが、
後戻りできないようにカテゴリにタイトルを先に入れちゃうのですよ(^^)
予定ではすぐにUPするつもりだったのですが、手間取ってしまいました(汗)

空白の二年間、二年あっても大したことなかったのが輝と未沙(苦笑)
たっぷり二年間もおままごとしてたのね、君たちは、
と、可愛さ倍増だったりします。
でもお互い忙しいだろうし、輝は転勤もしているし、
実際に一緒にいる時間は短かったのかもしれませんね。

また楽しみに来てください~♪


No title

> VF-4さん

そうですね~、
戦闘シーンのないSSが成立しちゃうアニメ!!
マクロスしかないかもしれないですよ(笑)
それだけ個人のドラマに重点を置いた作品だということでしょうか。
30年も経っているのに、
いまだにこういうことできるのは素晴らしいですよね。

VF-4さんのヒカミサ、読んでみたいですよっ!ぜひぜひ!!

No title

> ひーちゃんさん

お久しぶりでーす♪ 
いえいえ、読んで楽しんでいただけたなら、本望です!!
そしてうれしいお言葉、本当にありがとうございます。
励みになります。

「この素晴らしき世界」(笑)
二年間の終わりは「マイアルバム」で、
そのまた終わりは「やさしさサヨナラ」なので、
輝と未沙はらぶらぶにはなりそうもないのですが、
未沙も輝もマックスもミリアも、充分若者なので、
いろいろ楽しんでいてほしいなぁ、と思うのですよ。
そういう雰囲気が出せたらいいなぁと書いています。

また楽しんでくださいね~(^^)

No title

> ぱよぷーさん

ジョッキ持てば、かんぱーい!ルネッサーンスってことで(笑)
20歳くらいの時は非常に楽しかった覚えがあるから、
みんなもそうだよね、そうだよな!と遊んでもらいまーす♪
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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