SS <what a wonderful world!> 2

なんてことはない、遊んでるだけのSSなのですよ。
そういう時間が文化なのさー、って、ちょっと言ってみる(笑)

楽しんでいただければ、うれしいです。




*戴いたコメント、拍手コメントにお返事しました。(5/26)





          <2>





*20:17


それからいくつものジョッキが空き、いくつもの皿が下げられた。
出だしは輝が仕切っていたのに、
今は未沙がトングを握っていて、焼き網に場所ができると、すぐさま肉をのせる。
そして他の肉の焼き具合を見、三人に分配する。
「大尉、代わります」
「いいの、あなたは食べて」
マックスは、申し訳ないという風情で未沙を見るが、本人はちっとも気にしていない。
それどころか、嬉しそうに三人の世話を焼いている。
彼は輝の耳元に寄せる。
「きっといい奥さんになりますね」
「だれ?ミリア?」
「何言ってるんですか。早瀬さんですよ」
「仕事でも俺達をしきって、ここでもしきって、好きなんじゃないの?そういうのが」
憎まれ口をききながらも、輝は未沙が焼いた肉を食べ続ける。
あの決戦の日、
輝はアラスカの統合軍本部からひとり生き残った未沙を救出し、帰還した。
その様子は大変仲睦まじかったと伝え聞いている。
また、ファーストコンタクトを果たしたブリタイ艦では、
作戦とはいえ、ふたりがキスをする様子を目の当たりにしている。
あのあとからふたりの雰囲気が悪くないと感じていたマックスは、
輝の気持ちがミンメイから未沙に動いているのではないかと思っていた。
それでもこの調子で未沙に突っかかっていく輝の真意を知りたくなった。
「先輩、正直に言ってください。僕達、邪魔ですか?」
「は?」
輝は肉を皿の外に落とした。箸でつまむと慌てて口に放り込む。
「莫迦なことばっかり言ってないで、お前も食えよ。なくなっても知らないぞ」
照れているのか、それとも気づいていないのか?
マックスは顎に手をやり、首をひねる。
「いやね、男同士でひそひそと」未沙は眉を寄せた。
「では、女同士はいいのですか?」
「そういうわけじゃないわ。みんなでいるときは、同じ話題がいいじゃない?」
「失礼しました、大尉」マックスは丁寧に頭を下げる。
「いいのよ。それよりも、ほら。これ、食べごろよ」
未沙はまた一切れ、マックスの皿に置いた。
「俺の分、あります?」
「知りません」
「ちぇっ、贔屓だ」輝が舌打ちをする。
「それより大尉、あんまり食べていないんじゃないですか?」
ミリアが気づく。
「ちゃんと食べてるわよ。一番美味しいところを選んでね」
未沙が笑いかけると、ミリアも笑う。
「すみませーん!生、おかわり!!」
輝が店員に声をかけた。
「あなた、何杯目!?」
「早瀬さんより少ないですよ」
「まあまあ、大尉ももう一杯いかがですか?」
すかさずマックスがフォローに入って、未沙の気がそれた。
「一条中尉と早瀬大尉は、仲が悪いのか?」
ミリアがそっとマックスに耳打ちする。
「大丈夫だよ。ふたりとも照れてるだけだ」
マックスもこっそり応えた。
彼が見たところ、未沙は彼に対する好意を隠しきれていない。
逆に意識しすぎてきつく当たっていて、可愛らしい一面が微笑ましかった。
「好きならばはっきり言えばいいのに。メンドクサイな」
「いろんな人がいるからね。みんながみんな、僕達と同じじゃないんだ。
それより君は、早瀬大尉に肉の焼き具合とか教えてもらったら?」
「そうだった!今度来るときは、全部私が焼くぞ」
ミリアは瞳を輝かせた。
ふたりの今の関係は、
彼はまだミリアにはきちんと説明できないし、彼女も理解できないだろう。
だが、ふたりの行く末を一緒に見守りたいと思った。



*21:08


食べるだけ食べ、満足し始める。
ジョッキの空き具合もペースが落ちてきたが、話の種は尽きない。
「そろそろ長いお休みが出るころだけど、あなたたちはどうするの?」
未沙の問いかけに、マックスとミリアは顔を見合わせる。
「地球に降りたら、新居を探して落ち着こうと思っています。マンションもできるし。
結婚式からこのかた、あわただしく過ぎていきましたしね」
「戦いのない、民間人の暮らしというのに興味がある」
ミリアがうなずき、嬉しそうに続ける。「私はマックスとコドモを作るんだ!」
輝と未沙は赤面し、慌てたマックスは咳払いをする。
「そういういうことは人前では言わないんだよ」
ミリアは小首をかしげる。
「言ってはいけないのか?悪いことなのか?」
「それを歪めて取るひともいるのよ。残念だけど。」
未沙が助け舟を出す。
「ややこしいことばかりだ」ミリアは口を尖らせた。
「赤ちゃん生まれたら、抱かせてくれる?」
「もちろん」マックスが穏やかに微笑み、
それを見たミリアも安心したようにうなずいた。
そして輝に尋ねる。
「一条中尉は?」
輝はすこし考え込む。
「そうだなぁ、自由に飛びたいんだけど、まだそんな状況でもないしなぁ。
しばらくのんびりするよ。
ところで、早瀬大尉は休めるの?」
「軍の組織再編成のメンバーを希望したの。
それでも二、三日くらいはまとまった休みがあると思うから、お部屋の整理がしたいわ」
軍人たちは自室には寝るだけに戻るようなもので、
なりふりなど構っている場合ではなかった。
食べて、寝て、また出撃する。その繰り返し。
思い返すように、四人はうなずいた。

司令官を失ったゼントラーディの兵士たちは命が尽きるまで、勇猛果敢に戦い続けた。
ミンメイの歌に動揺し、信じるものを失った彼らは我武者羅に向かってくる。
投降を呼びかける声も、彼らの耳には届かない。
そんなかつての友軍の姿を、ミリアが辛く思っているのを、マックスは見ていた。
この世の中のすべてを教えてあげたい。
自分の知っている、楽しいこと、美しいことを。
文化を、この生活を選んだ彼女が後悔しないように。
彼ができることを全部やってみたいと思っていた。

マックスはつぶやいた。
「なにはともあれ、ようやく休める」
輝は残ったビールを飲みほす。
「ようやく、ね」
静かにジョッキを置いた。


艦内の目抜き通りを四人で歩く。
まだ帰るには早く、もう一軒行こうと探しながら。
修理が済んでいるところ、諦めたところ、
被害がなかったところがモザイクのようにちりばめられていて、
地球に降りる日がわかっている今、
街並みは必要なところだけ補強がされている、そんな状態だ。
輝とマックスは、先を歩く未沙とミリアから離れないように、後姿を見つめながら歩く。
「結局、早瀬大尉が全部払っちゃいましたね」
「払いたいっていうんだから、いいんじゃないの」
「僕としては、女性にごちそうになるのは心苦しいんです」
「俺だって気持ちいいもんじゃないけど、
大尉、それじゃあ気が済まないって息巻いてたからなぁ」

突然ミリアが振り返る。
「マックス!あそこはどうだ!!」








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No title

> ゆばさん

なんてことないところなんだけど、こういう場面書くのが好き💛
当時の雑誌で垣野内さんがかわいいミリアを描いてくれたから、
がっつり影響受けましたー♪

ミンメイは女に嫌わられるかわいらしさ、あざとさを
見事に体現してくれたけど、
女に好かれるかわいらしさがあるのはミリアだと思う!

No title

> misarinさん

「レイニーナイト」もわりとそんなかんじがしますよ~♪
クローディアの家から並んで帰るふたりがうれしいけど、
画が・・・画が・・・(涙)
二次創作は好きにできちゃうから、
こんななにもない日常を扱えますけど、
本編は無理だろうな~(^^; 見たいけど!!
すっごい見たいけど!!!

No title

> ぱよぷーさん

ミリアかわいいでしょ~(#^^#)
外国で育った帰国子女さんたちもこんなかんじかな?

ほんとはもっと短かったんだけど、
楽しいから調子に乗って長くなっちゃった話です。
もうちょっと楽しんでいただけると思いまーす♪
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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