SS <what a wonderful world!> 4





ほんとに、楽しんでいただけるとうれしいです!!




*戴いたコメント、拍手コメントにお返事しました。(5/31)









           <4>





マックスがこの施設が主にどういう目的で使われているのか、ミリアに説明する。
「ならば、どうして今日はここに来ることにした?
あの場できちんと話してくれれば、私だって・・・」
ミリアは腕組みをして口をとがらせる。
「そりゃね、僕だって来たことなかったし、ちょっと見てみたいなって思った。
多分、みんなそうじゃないかな」
ふむ、ミリアはうなずく。
「いつでもだれでも来られる場所ではないことに変わりはないということか」
「そう。君がみんなにチャンスをくれた」
ミリアは満足そうに微笑む。
「それ以外でも楽しめるということなのだから、思う存分堪能しよう」
初心なふたりのまえで、これ以上きわどい質問が出ないことを確証し、
マックスも安心して笑みを浮かべた。
そんなとき大きな鈍い音が聞こえ、反射的にそちらに向かう。


「なにかありましたか?」
マックスが帳の前で声をかける。
「なんにもないわよ」
長い髪を手ぐしで整えながら未沙が出てくる。
「あっちのほう見に行きましょう、ミリア」
その隙間からベッドに転がる輝が見えた。マックスは輝に近づく。
「先輩、僕達失礼したほうがいいですか?」
小声で告げると、輝は憎々しげにマックスを見る。
「是非いてくれ。絶対帰るな」勢いをつけて飛び起きる。
「あれでも女かよ。さすが士官学校首席というか・・・」
首をさすりながらごきごきと左右に振り、立ち上がる。
「冗談も通じない堅物だ、やっぱり」
「こんな場所で冗談なんて、洒落になりませんよ。投げ飛ばされて当然です」
事情を察したマックスが呆れると、むっとしたまま輝はベッドを後にした。


ベッド周りもひととおり眺めたマックスは、三人の元へ戻る。
テレビの前では、輝が何かを探していた。
未沙とミリアはそのわきで様子を見守っている。
「あった」
輝はカラオケの通信端末をテーブルの上に置いた。
ミリアはマイクに手を伸ばす。
「これはミンメイが持って歌っていたものだ」
未沙がうなずく。
「ねえ、歌ってみない?」
ミリアは目を伏せる。「・・・歌など、歌ったことはない」
「でも聞いたことはあるでしょう」未沙が覗きこむと、
少し意地を張った表情のミリアがいた。
「思い出すなぁ」輝がのんきな声をあげる。「エキセドルの、私の彼はパイロット」
「振り付きでしたね」マックスは思い出し笑いをする。
「それはいつのこと?私がいないときにあったの?」未沙が残念そうに声をあげた。
「そうそう、アラスカ行った後でしたよ。
関係者が呼ばれて、そのなかに僕らもいて」
「ここには重要人物がいない、って、ミンメイとカイフンも急遽呼び出されたんです」
ね、とマックスと輝は顔を見合わせる。そして次の瞬間、輝の顔が曇った。
「・・・余計なことまで思い出しちゃったわね、一条君」未沙がつぶやく。
やっぱりこのふたりは。マックスは思った。
「あんな風に自由に、聞いたままに声を出してごらん。
最初から上手く行く奴なんていないよ」
「そうそう、ここには私達しかいないんだもの。
恥ずかしいことなんてないわ。遠慮なんてしなくていいのよ」
未沙も声をかける。
ミリアは覚悟を決めたように、きりりとTVを見据える。
輝はカラオケの端末で曲を検索しはじめた。
マックスはソファに腰かけようとした時、
『歌手名:リン・ミンメイ』の表示をたどる彼の眉が、一瞬ぎゅっと寄ったのを見逃さなかった。
あのとき輝の出撃が遅れた理由を、彼は知っている。


耳慣れたイントロが軽快に流れ出す。
ミリアは大きく息を吸い込み、そして停まった。
曲は流れ続ける。
「・・・ゴーとふかして急上昇 長く尾を引く飛行機雲で」
未沙がサポートを始め、マックスも手拍子を打つ。
きっかけをつかめたミリアは、あとを続けて歌いだした。
おそるおそる出していた声は、次第にのびやかなものに変わる。
「L・O・V・E ラブリー!ミリア!!」
輝がコールを入れた。
「さすがね」
未沙が冷やかすと、輝は、ふんっ、と横を向き、拗ねながらも手拍子に加わる。
ミリアは時々つまりながらも、歌い終えた。
「TVに歌詞が出てくるけど、追いつかない。おぼえているところは大丈夫だが」
出来上がりに納得がいかない彼女は腕組みをする。
「字幕か。ゼントラ文字なんて」輝が言った。
「あるわけないでしょう。これは全部覚えるしかないわね」未沙が続ける。
「そうそう!ミンメイはなにやらくねくねしていた」
「振付、つけたいの?」マックスが問うと、当然と言わんばかりにうなずいた。
「ほら、エキセドルみたいに思うままに・・・」
「それはちょっと違う」ミリアは片眉を上げる。
未沙がふたたび曲を呼び出し、イントロが流れだすと、立ち上がってミリアに並んだ。
「歌詞はいますぐどうこうなるものじゃないけど、振付の再現くらいはできそうじゃない?」
笑わないでよ、と短く言い放ち、曲に合わせて左右に揺れはじめると、ミリアも倣う。
振りが合わなくて体がぶつかるたびに笑いあい、
ミンメイの振りとはかなり違うが、楽しくてしょうがない様子で、
2番に入るころには、輝も加わった。
「先輩が一番巧いって、どうなんでしょうねぇ」
観客役のマックスが笑い転げる。
「うるさいな。見てないでお前もやれよ」
「本当に楽しいからやってみるといい!ほら!!」
輝とミリアが座っているマックスを引っ張りあげようとしていると、
室内に備え付けられた電話が鳴った。
その瞬間、四人の目つきが変わる。
マックスの手を離し、輝が素早く受話器を取った。


かちゃん、と音を立てて受話器を置き、振り向いた。
「うるさいってさ」
そう言って、いきなり噴き出す。
「ラブホテルで怒られるって、あんまりないよなぁ」
顔を見合わせ、笑う。
また電話が来るわよ、と未沙がいさめながらも、
声を出せない状況がまた可笑しくて、笑い続けた。











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No title

> ゆばさん

素敵ぃぃーっ(*ノωノ)そのシチュ💛
加減できなくて、きつめにキスしたから跡がついちゃって、
ミリアに指摘されればいいのにー(笑)
そして言い終わる前にミリアはマックスに手でふさがれてしまうと。
四人そろうと楽しそうで、話進まない、進まない(失笑)

おじょーさん二人が歌う人だから、
かーちゃんも上手いはず、と思ったのですよ!
(とーちゃんはなんでもできそうだから、そっとしておく)

もっともっと四人で遊んでる様子が見たかったなぁ。
本編で見たかったなぁ。
スタープロでも文句言わないからさー
って言いながら、「あれは誰?」とか言うと思うけど(^^)



No title

> misarinさん

そうなんですよ、ぽーんとね~(笑)
よく飛んだと思います。

ミリアはいつも真剣だと思うのですよ。
遊びもまだ「遊び」じゃなくて、
「よしこい!!」っていうところがかわいらしかっただろうな。
そしていつのまにか、誰よりも上手くなっていたりして~(≧◇≦)
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

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