SS <this night> 1

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

さっそくですが、今年もへっぽこな話を更新です。
先日UPした<way home>の続きになります。
未沙の一人称で進みますので、雰囲気が変わると思いますが、
よろしければ、お楽しみくださいね♪


* 戴いたコメントと拍手コメントに、お返事させていただきました♪ (1/3)(1/4)(1/7)(15/4/2)





<this night> 1






どんなに遅くなっても、いままで輝がここで夜を明かすことはなかった。

「寒いからお風呂入れるわね」
家に着くなり、顔を見せないよう早口でまくし立てると、
えっ!?とうわずった声が背中で聞こえる。
緊張しているのは輝だけじゃない。
初めて家にいれたわけじゃないのに、
私も口から心臓が飛び出てきそうなくらいドキドキしていた。
なにかしていないと間が持たなくて、
手早く浴槽を流して、給湯スイッチを入れ、
部屋にいる輝を避けるように、キッチンでお茶の準備を始める。
カップをふたつ、丁寧すぎるくらいゆっくりならべた。
早々にコンロにかけていたやかんは、蒸気を立て始める。
「おなか減ってない?」
振り返らずに声をかけると、大丈夫、と返ってきた。

『どこまでも。ふたりで行こう』
彼の言葉はまだ私の中に響いていて、夢を見ているみたいだ。
その言葉に私の期待してる含みがあるのか、
もしくはさっきの道中の話をしてたのか、はっきりさせたいところだけど、
がっかりとうなだれる結果になるのも嫌だ。
今はゆっくりと心地よい言葉に酔っていたい。

ソファに座っている輝はちょっと落ち着かなくて、
なんとなく隣に座ることをためらった私は、
テーブルの角に自分のカップを置いた。
あったまるわよ、と薦めながら、床に座る。
雪の中歩いてきたから、やはり体は冷えていて、
あたたかい紅茶がへんな緊張をほぐすように体を通りぬける。
輝もようやく人心地ついたようで、
あのさ、と話し出したが、風呂の給湯が終わったブザーに遮られた。
「やっぱ、俺、家から着替えもってくるよ。 先に未沙が入っていて」
そういうなり、私の返事も聞かずに腰を上げる。
「明日出かける前によればいいじゃない?」
「いや、すぐだから!大丈夫だから!!ここの鍵だけ貸してくれる?勝手に入るよ」
勢いに負けて鍵を渡すと、コートを羽織って飛び出していった。

ためいきついて、後ろ姿を見送る。
しかし着替えを取ってくるだけなら、そんなに時間はかからないので、
勧められた通り、先に入浴することにする。
のんびりしていると微妙なタイミングで鉢合わせてしまうから、
手早くすまそうと思っていたのに、
爆風を浴びた髪に手間を取られ、予想以上に時間はかかった。
それでも、輝は戻っていなかった。

髪を乾かしながら、今朝まで私の心に居座っていた重たい感覚が蘇る。
嫉妬を覚えてしまったから、お気楽に考えることができない。
黒いしみが白い布に染み込むように、いやな感じで広がり続ける。
信じることが大切なのはわかっていても、今の私には余裕がない。

髪がほぼ乾いた頃、部屋の空気が動くかんじがした。
ドライヤーのスイッチを切り、脱衣所を出ると、
外の空気をまとった輝が玄関に立っていた。
おかえりなさい、と声をかけると、泣き笑いみたいな表情を浮かべる。
「俺んち、ドアがなくなってた」
「ドアって・・・えっ!あのときかしら!?」
「たぶんね。閉めた覚えがないんだ。あのまま走って出ちゃったし」
「大丈夫?なにかなくなったものとか、ないの?」
「雪とか爆風で飛び散ったなんかが吹き込んできていて、玄関周辺は結構キツイね。
もともと私物は少ないから持ってこられたし」
ここ置かせて、と部屋の端にスーツケースを置き、コートを脱いだ。
「施設課に電話したんだけど、こっちの修理まで手が回らないから、
とりあえず空いてる部屋に引っ越してくれ、って」
またいい具合に隣の隣が空いたばっかりでさ、
とぶつくさ言いながら、着替えを取り出している。
「・・・直るまでうちにいれば?」
輝は顔をあげる。
「それはできないよ」
「どうして?」
「移民艦の話に影響しないの?」
一瞬、言葉に詰まった。
「私のことなんて、関心ないと思ってた」
じわじわとうれしさが湧き上がってくるけど、
さっき蘇ったいやな感覚が邪魔をして、素直になれない。
「なんかさ、この前からずっとそんなコトばっかり言ってるね。
今日だって、気が気じゃなかったのに」
ふたたび輝の声は聞きおぼえのある電子音に遮られる。
「・・・風呂沸いたね」
勢いがあった言葉は失速するように、目先の関心に切り替えられた。
「・・・早く入ったら?」
私もそれに合わせる。
今日だけは、どんなに小さくてもケンカはしたくない。

輝は再びスーツケースを開けた。
「これ見て待ってて」
そう言って脱衣所のドアを後ろ手で閉めた。

手渡されたのは、白いアルバム。
初めて見るものだった。
なにげなく中身を開いて、私は息をのむ。




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非公開コメント

No title

どんな夜が訪れるのでしょうか?
わくわくもとい展開が楽しみです♪

アルバムが出てきましたね。‥期待通りのアルバムでありますように。

No title

> ぱよぷーさん

大変です!
広げた大風呂敷がたためません(大汗)
ケンカならいくらでも書けるのにな~。

アルバム、私も見たいな~。
どーして本編で出てこなかったのかな~?

No title

> 拍手コメント michyさん

もったいないお言葉、ありがとうです~💛
この後がうまく続くのか、私のほうがドキドキしてます(汗)
新年早々、ハードルが高すぎたわ・・・(/_;)

No title

> myさん

あけましておめでとうございます。

この後ですか、、、この後ですね(汗)
頑張ってますが、かっこよくなるでしょうか!?
かっこよくしたいんですよ!!
精進します。

今年もよろしくお願いします。

未沙萌え!

ぶいさん、新年から幸せ未沙サイコーです。
アルバムの中身はどんな写真があるのでしょうか?やさしさサヨナラでは、最後に未沙の手でアルバムが閉じられていましたが・・・・
今、作り直すなら、エンディング時に空白の二年間の写真と結婚式とメガロード出航の写真で最後は未来ちゃん真ん中で3人の写真で終わるのはいかがでしょうか?
今後の創作活動楽しみにしております。

No title

> ゆばさん

あけましておめでとうございまーす♪

私、ミンメイのあのアルバムは赤い表紙だと思ってました。
・・・白だった(汗)
そのために「マイ・アルバム」探し出して、そのまま見入るおバカさよ(苦笑)
でも「あああーっ!!これはミンメイっ」って焦る輝を見たい気もします~💛
オタオタする輝もかわいいなあ、きっと(^^)

なんてことばっかり考えていますが、
今年もよろしくお願いします。

No title

> VF4さん

あのラストシーンの未沙の手に、涙出ちゃった私です。

エンディングの作り直しですか。
うーん、私はあれでいいと思いますよ♪
未沙がミンメイのアルバムめくるのは、
なつかしい。青春ね~、っていう余裕を感じちゃいます。

本物は一条家の家宝にして、門外不出で(笑)
すごい一枚もあったりして・・・一枚だけじゃなかったりして・・・
・・・やっぱり見たい💛

これからもよろしくお願いします。

No title

> VF-4さん

読み返していただけて、光栄です♪
それより更新遅れていて申し訳ないです~(大汗)

これを書いてから、一年以上経っているのですね。
ついこのあいだのような気もするので、妙な心境です(*^^*)

プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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