SS <14.Feb.’12>

明日はバレンタインですよ。
私、行事モノは大の苦手です。
しかし、ひょこっと思いついた話が一つ。
作業場所がないぞ、と言いつつも、パソコンに触れた!ひゃっほーっ!!

しかし突貫工事で作ったので、どこかに不具合があるような気がします。
見つけ次第訂正していきますので、ご容赦ください。

あ、甘くないです。きっぱり言い切れます(苦笑)
でも悲しくもないです。
つまりはハンパ、ってところで、期待せずにどうぞ♪


* 戴いたコメントと拍手コメントにお返事させていただきました。(2/18)('15/2/27)


<14.Feb’12>





日勤を終え、夕暮れの街を輝とマックスは歩く。
コミリアはベビーキャリアでマックスに抱かれ、
一日の疲れが出たのか、ぐっすりと眠っている。
「バレンタインって、いったい何なんだ?」
輝はぼやく。
「各地域で様々な風習があったから、全部混ぜてこうなりました
ってのが、マクロスシティですね」
マックスも小首をかしげる。
「たしか、日本は女の子がチョコを渡して告白するんでしょう?」
「・・・されたことないけどね」
輝は一層しらけた顔になる。
・・・この前まで三角関係のど真ん中にいたくせに、モテないなんて。
マックスは輝のこういう鈍さが面白くてたまらないが、それは隠しておく。
「ま、騒げる名目探して、楽しんだ方がいいからな」
「そうそう、楽しみましょうよ」
マックスが気分を変えるようにフォローする。


ワインの専門店に、二人は入った。
お酒があまり得意ではない輝は、見立てをマックスに頼んでいた。
「昔からの知識って今はあんまり通じないんですよねえ」
新しく開発された葡萄で作られたワインを見定めていく。
「で、結局、赤ですか?白ですか?・・・先輩!?」
振り返って、後ろにいるはずの輝に声をかけたつもりが姿はなく、
すばやく店内に視線を走らせると、
手元を見るのに邪魔になったコミリアをキャリアごと託された輝は、
店の端で直立不動になっていた。
「なんでもいいよ」
視線が合うと、寝ているコミリアに配慮したのか、息をひそめて輝は応えた。
ガチガチに緊張しているその様子、見せてあげたいなあ、
小さく笑い、マックスは再びラベルに目を落とす。

マックスが選び出した赤と白のワインを一本ずつ、包んでもらう。
コミリアは早々にマックスにかえした。
「こどもって、あったかいな」
マックスがキャリアを、かちゃんと音を立てて装着しなおしていると、
支払いを終えた輝は目を細めて言った。
「真夏は辛いですよ」
「なるほどね」
「練習しますか?」
「いいや、遠慮する!!」
ぶるぶると首を横に振りながら、後ずさった。

「そういえば今日、ミリアは?」
「手作りチョコを作る講習会があるとかで行きましたよ。
最近友達ができて、誘ってもらったって、大喜びで」
ミリアは自分の世界を広げて、周りともうまくやれている。
ゼントラ人と地球人もわかりあえる、そんな希望が彼女の姿に重なる。
「彼女からチョコもらうんなら、お前はどうすんの?」
「ここはやっぱり花束でしょう」
ふふん、と自慢げにマックスは微笑んだ。
「あ。それ、俺も乗った!!
酒瓶二本じゃ、なんか物足りないって思ってたんだ」
「どうしたんですか?そんなに気を使って」
輝は鼻の頭をポリポリと掻く。
「しばらくはきちんと『行事』をするんだ。
・・・いろいろあったし」
「少佐に言われたんですか?」
「言われないから、怖いってか・・・・・
どうしていいかわかんないから、お前に付き合ってもらってるんだよっ!」
ほぉ、罪滅ぼしってわけか。
マックスはにやりと笑う。
「先輩」
ん?と輝は首を傾げる
「幸せですね」
むっとした輝は、うるせーよ、と足を速めた。


ふたりは真紅の薔薇を一本づつ包んでもらう。
バレンタインの夕方に、新鮮な薔薇がたくさんあるような野暮な店でなかったのだ。
さりとてほかの花、と言われても、
コミリアがもぞもぞと動き始め、お目覚めが近くなっている。
選ぶ余裕はない。
店を出るところで輝がなにかに気づき、戻った。
「もう一本、お願いします」
店員は慣れた手つきで薔薇を取り出す。
「だれにあげるんですか?」
「・・・もうひとりの『彼女』にね」
それは誰を指したのか、マックスはすぐにわかった。
「すいません、僕にももう一本」
待っている間、二人はガラス越しに空を見上げる。



たくさん寝て満足できたコミリアは目を覚まし、降ろせとばたつく。
ダメだよ、となだめるマックスも、いつもの冷静さが失われ始め、輝はすこし可笑しい。
「降ろしてやったら?」
「こんなに遅くにダメですよっ!
いたいっ、コミリアっ!!バタバタしないの。
・・・買い物してる間、寝ててくれて助かりましたね」
「お前でもそんな顔するなんて、俺は安心したよ。
コミリア最強だな」
三人は宿舎のエリアに入る。

いつもと違う、それでも見慣れた玄関のインターフォンを押すと、聞きなれた声が応える。
「あら、マックスも一緒だったの?」
扉を開けた未沙は、嬉しそうにコミリアを覗きこむ。
降ろしてくれるの?と、期待を込めて、コミリアは未沙に手を伸ばし、
不意を突かれたマックスはバランスを崩した。
転びはしなかったものの、声を聞きつけて、
家主のクローディアがエプロンで手を拭きながら顔を出した。

ひと通りの挨拶を交し、コミリアをなだめたマックスと輝は顔を見合わせて、
クローディアに薔薇を差し出す。
「・・・弟たちからですが、」
輝が照れくさそうに、マックスはベビーキャリア姿ながら優雅に、手渡した。
突然のことにクローディアは驚き、目をまん丸く見開いた。
「ありがとう」
そして花の香りを味わい、くすりと笑った。
「妻子持ちと彼女持ちから、ってところが面白くないわね」


抱かれていたコミリアが、大人の都合は飽きた、と、むずかりはじめる。
クローディアがあやしはじめ、未沙は慌てて奥へ引っ込んだ。
そして大小の包みをひとつづつ持って出てきた。
「これ、お夕飯ね」
大きな包みを輝に手渡す。
「こっちはコミリアちゃんに」
小さな包みをマックスに。
「コミリアちゃんがくるってわかってたら、いろいろ準備できたのに・・・。
あ、イチゴなんだけど、大丈夫よね?」
「大好きですよ。そのへんを真っ赤にして食べますから」
マックスはコミリアに話しかけながら、「ありがとうは?」と合図をだしている。
本人は目の前に出されたものを触ってみたくて、余計バタバタと騒ぎはじめ、
早々にいとまを告げてマックスは家路についた。
そしてクローディアも、花瓶はどこかしら、と中へ戻った。

「これ」
輝は薔薇が刺さっている紙袋を未沙に手渡す。
「どっちがいいか、わかんないから両方買った」
ぶっきらぼうに言ってるあたりに照れを感じて、未沙から笑みが零れる。
「ありがとう。
見立てはあなた?」
「わけないだろ。マックスに頼んだから、きっと大丈夫だ。
今晩は二人で楽しんで」
「夜間パトロール、気を付けてね」
輝はうなずき、未沙の額にキスを落とした。
くちびるが離れた瞬間に、また明日、と言い残して走り出す。

輝の背中は暗闇に馴染んで見えなくなっていた。
「一条君、ちょっとよっていけば?」
クローディアの声に、未沙は応える。
「・・・もう行ったわ」

そして静かに扉を閉めた。






Fin



<14.Feb.'13>




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非公開コメント

> ゆばさん

祝!復活!!おかえりなさーい\(^o^)/
退屈しのぎのお役に立てましたか!?
よかったぁ~♪

この話、書きながら、
「来年の(2013年)のこの日にはきっと、
輝も未沙も地球にいないんだなぁ・・・」と
妙にしょんぼりしてしまいました。
そのときは「早瀬」さんじゃないし、とか、
もしかしたら、おめでただし、とか、
ウホッ♪なこともあるんですけどね(笑)
そんな気分だったので、あのようになりました。

未来ちゃんが生まれれば輝も子育てするだろうけど、
まだ独身の、子供なんてどーしていいのかわからんわ状態で、
コミリアとお留守番してるのを見てみたい~って、
ひそかに思ってる私です(#^^#)


新しい話も読んでくださってありがとうございます♪
停滞させないようがんばりますーっ。

No title

> びえりさん

はじめまして。
過分なまでのお言葉を賜りまして、恐縮です。

読んでいて、ご自分に合わないと思ったときは、
即座にプラウザを閉じることを推奨します(笑)

心のこもったコメントありがとうございました。
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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