SS <because> 3

10代の女の子が恋したときのチカラは、かわいらしいけど凄い。
若い男の先生は大変だろうなあ。
惚れられちゃったり、あこがれられちゃったりしたら、
どこまで本気にしたらいいのか、わかんないもんね。

現在と人口の構成が違うマクロスの世界。
若い男の人は世代的に一番少ないだろうな、と
思って書きました。


* 戴いたコメントにお返事させていただきました。(2/23)







<3>



帰宅して夕食の支度を終わらせた未沙は、パソコンを立ち上げた。

古の文字を、ゼントラ語の近い形のものと照会しながら、地球の言葉に直す。
会議で見たエキセドルの訳は、言い回しがクラシカルすぎたので、
今の感覚にあわせた、それでいて古びなさそうな言葉を探していく。
手ごわくはあるが、手間がかかる分没頭できて、今はありがたい。
詞の内容は恋愛を歌い上げたもののようで、未沙は心地よく世界に入り込んでいった。


連打される呼び鈴に、ようやく気付く。
慌てて開錠すると、寒そうに身を縮めた輝が立っていた。
「寝てた?」
「・・・ごめんなさい。仕事していたの」
帰りがけの松浦の言葉がよみがえり、何気なく周りを見回しながら扉を閉めた。
誰かが見ているんじゃないか、そんな不安が未沙の顔を覆い始める。
「具合悪いんじゃない?顔色悪いよ」
「大丈夫よ。ちょっと根をつめてたから、気持ちが切り替わりにくくて。
それより遅かったじゃない」
動揺を隠すように未沙は笑顔をつくる。
「ひと悶着あったんだ」
輝は、まいったよ、もう、と頭を掻きながら、バスルームへ向かった。

「そんなに熱中してるのって、なに?
まだ機密?俺でもやばい?」
食卓を囲みながら、輝が話をふった。
「機密っていえばそうなんだけど・・・。
あなた、今日内示でたのよね」
「出た。
それがさっきの話につながるんだけどさ。
メガロード乗るって言ったら、泣いちゃって」

最近輝をてこずらせてるのは、16歳の地球人女性パイロットのジェイン・ハミルトン准尉。
男と対等に渡り合い、体力も成績も男以上で自信過剰気味だったのに、
訓練中の些細なミスで絶体絶命に陥ったところを輝に救われ、
そのとき彼女の最初の恋は芽生えたらしい。
―――あなたのことが好きなんじゃないの?
彼女の行動について、輝から相談を受けるたびに未沙は繰り返したが、
恋愛について『自分にそんなことはありえない』自信がある輝は、笑い飛ばしていた。

「自分もメガロードに乗るとか言い始めてさ」
はぁっ、と輝はため息をこぼす。
未沙は箸から味噌汁の具を落とす。
「・・・だから、はっきりしなさいって言ったのに」
妬いてると思われるのが非常に不本意な未沙は、声のトーンを抑えて言う。
「今日言ったよ。彼女いる、って」
輝の不満そうな顔つきは気に入らないが、未沙はすこしほおをそめる。
そしてそんな自分がちょっとくやしい。
「それで?」
「帰ったよ」
首を傾げながら、輝は続ける。
「すっきりしないけど、解決?」
ぱくん、とご飯を一口食べる。
「なんか・・・終わってない気がするけど」
未沙は無言でこめかみを中指でそっと押さえる。
「おんな、めんどくさい・・・」
眉を寄せてつぶやいた輝は、味噌汁を飲み干して、ごちそうさまでした、と掌を合わせた。

食後に紅茶を淹れ、未沙はプレートの曲について経緯を話しながら、
パソコンを立ち上げ、メロディを再生する。
「・・・きれいな曲だね」
輝は遠くを見つめるように聞き入っていた。

「そういえばこの前、ミンメイに会った」
「どこで?」
「買い物に出たときに、ばったりね」
だから、どこで、が気になるのに、未沙は言い出せない。
彼女は今、この近くで暮らしているのだろうか?
たびたび輝と顔を合わせるようなところに。
「自分で曲を作ってるって、元気そうだったよ」
淡々と話す輝に、そう、と未沙は相槌を打つ。
「・・・ミンメイさん、これ、歌うのかしら?」
「やっぱ、そういう方向だよなあ・・・
他に探さないの?新しい人」
「松浦少佐の管轄だから、わからないわ。
私は訳詞だけ。採用されるかもわからないけど」
気持ちがこころもち重くなる。
ミンメイはまだ、未沙の中では生傷のままだ。

曲は止まり、沈んだ空気が流れ始める。
「冷めちゃったから、淹れかえるわね」
立ち上がろうとする未沙を、輝は引き寄せて抱き締めた。
「いきなりどうしたの?」
未沙の髪に顔をうずめた輝が、小さくつぶやく。
「なんか疲れた」
輝の力が強くなる。
未沙は腕をまわして、優しく背中をなでた。

求められることが、無性にうれしい。







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心配・やきもちの未沙健在です・・・・
輝も彼女いるではなく、婚約者いると言えばよかったのに・・・未沙の反応がみてみたいです。
ミンメイのことは昨日の今日ですから、未沙は敏感に・・・
がんばれ未沙!・・・
しっかり輝!・・・

> VF4さん

いやー、それは輝にはハードル高すぎですよ(汗)
のんびり君だけど、決めたら頑固そうなかんじがします。
そこも好きなんですが♪

もうちょっとグダグダ続きます。
でも、すっきりさせますんで気長に待っていてくださいね。

> myさん

彼氏モテナイよりいいですよぉ、きっと(笑)
二人の進展が早すぎて、情報が錯綜してるのでは、ということで進めてみました~。
新入りさんたちは「隊長、きゃっ💛」で盛り上がり、
古株さんたちも「ミンメイ見たんだけどさ・・・で、真相は?」って。
職場にそんな注目の二人がいたら、楽しそうでいいなあ、とか不謹慎にも思ってしまう私です。
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

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ご活用ください♪

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