SS <約束>

一週間、燃え尽き状態で過ごしました。
ああっ、先週末に戻りたいーーーっ(涙)

しかし現実は年度末。
次から次へと、いろんなことがやってきてくれて、
あっというまに三月も終わります。
私の仕事は大したことをするわけではないのですが、
それでもこの状態だもん。
皆様、体調崩されませんように。

そして来月から完全朝型生活に切り替えねばならぬ事態になりまして。
いかに上手に時間をやりくりするか、頭イタイです。
夜中にポチポチするの、好きだったんだけどな~。

さて今回の話は、<because>の続きになります。

楽しんでいただけると、大変うれしいです♪




* 戴いたコメントと拍手コメントにお返事をさせていただきました(3/30)(3/31)(4/13)


<約束>





「昨日はありがとうございました」
廊下で、通りすがりの輝に声をかけられ、クローディアは振り返る。
「あら、お休みじゃなかったの?まあ、いいわ。
ところで昨晩はどうだった?」
「なんにも覚えてないみたいで、今もまだ寝てますよ。
いったいどれくらい飲んだんだろう?」
輝は何かを思い出したように、軽く笑みを浮かべた。
やさしい、だけどいままでとは少し雰囲気の違う輝に、クローディアは目を細める。
「ちょっとお願いしたいことがあるので、あとで伺います」
会釈をし、それじゃあ、と先を急いだ輝の後姿を見送った。
ほんとにもう、坊やなんて呼べないわね。
その姿を一緒に見守りたかった彼に、話しかけた。

初対面の未沙は、人を寄せ付けない雰囲気があった。
まして軍の高官の一人娘、士官学校首席と言った彼女についている肩書は、
彼女を囲む砦を高くしていく。
マクロス搭乗員の研修で同室になり、一枚の写真を切なく見つめる彼女に、
ようやく生身の温かさを感じて親交を深めていけた。
「私はもう、自分が女の子だなんて気持ち、捨てちゃったもの」
あのころの彼女が繰り返し口にしていた言葉。
自分が女の子だと、彼女に思い出させたのは、彼。
なつかしい時間に想いを巡らせ、静かに微笑む。

お昼の時間にヴァネッサと食堂ですれ違う。
「あのあと大丈夫でしたかねぇ?」
心配そうな彼女に、含み笑いで伝える。
「近いうちにいいしらせが入ったりしてね」
出会ったころは遠巻きに未沙を見ていた彼女らも、いつのまにか親身になっている。
5年という歳月はいろんなことが起こりすぎて、瞬く間に過ぎ去ってしまった。
このあと仲間たちも、未沙のように自分の道を歩き出していくだろう。
そのとき、自分はどこへ向かい、何を目指すのだろうか?
答えが見えない問いは、苛立ちと不安を孕んでいて気分が重くなる。
「さ、仕事、仕事」
気合いを入れるように小さくつぶやいて、クローディアは午後の業務に手を付けた。

陽がかげりをみせてくる頃、一日のスケジュールの大半を終えたクローディアは、
一息つくためにコーヒーを淹れた。
一口、二口飲み、ストレッチ代わりに体をのばしていると、輝と未沙がドアを叩いた。

未沙が一枚の紙を広げる。
「あなたに証人をお願いしたいの。いいかしら?」
用紙の記入欄は、たったひとつを除いてすべてが埋められていて、
二人必要な証人の署名欄の片方には、すでにマックスのサインがあった。
突然のことに声もなく、クローディアは言葉を探す。
「ご心配おかけしました」
大人びた口調で輝も頭を下げる。
「まったく。
やることが極端なのよ、あなたたちは」
クローディアは静かに笑みを浮かべる。
「ケンカしてたんでしょう。いきなりすぎよ!
もしかして昨日の時点でもう、決まってたの?」
未沙を見やると、彼女は頭を振った。
「それに一条君、これはちょっとってレベルのお願い事じゃないわね。
そんな軽いものじゃないって、わかってる?」
腰に手を当て、呆れてみせると、輝は照れ笑いを浮かべて鼻の頭をかいた。
「だからあなたにお願いしてるのよ。
とても大切なことだから、あなたになってほしいの」
未沙がすかさずフォローに回る。
その真摯な瞳に、クローディアは彼女の本心を感じ、輝の瞳をしっかりと見つめる。
「一条君。
本気で未沙の一生、背負っていくのね。
もうこれ以上、未沙を泣かすことはしないのね」
言葉に込めたのは、写真を眺めては涙をこらえていた5年前の姿。
そしてミンメイと輝の関係に悩み、苦しんでいた時間。
自分に向けられた鋭い眼差しにひるむことなく、輝はクローディアに向き合った。
「僕が一生守っていきます」
はっきり言い切ると、二人は見つめあう。

先に視線を外したのはクローディアだった。
そして小さく笑うと、愛用のペンを取り出した。
「ここでいいのかしら?」
空欄を指して、未沙を見る。
「絶対幸せになるって、約束できる?」
「もちろんよ、クローディア」
未沙は今まで見た中で、いちばんやさしく、おだやかな顔をした。
そこに5年前の面影はない。
あのときと今の未沙を重ね合わせながら、クローディアはペンを走らせた。

報告のため、三人で総司令室を訪れ、未沙と並び立った輝が結婚する旨を伝えると、
グローバルは声を詰まらせた。
「幸せになりなさい」
グローバルは彼女の手を取り、短く告げると、涙をこらえ目を伏せた。
うなずく未沙の瞳も潤み、はい、と応えた声は震えていた。


その夜、クローディアはフォッカーの写真立てをテーブルに並べ、グラスを合わせる。
癒えない悲しみはないのね、ロイ。
返事はないと知りつつも、語り掛けてしまう。
あなたの後輩、立派になったわよ。
『俺がしっかり叩き込んだからな』
彼ならそう自慢する気がした。
私は、あなたの代わりに彼が大人になるのを見届けたわ。
いつか会えた時、ゆっくり教えてあげる。
その日が来るまで、もっと女に磨きをかけなきゃね。
写真に向かい、強がっている自分が可笑しくて、悲しくて、笑いながら泣けてきた。
でも今日は泣きたくない。

「ねえ。
私はあなたよりいい男を、ちゃーんと捕まえるから見てなさいよ」
鬱々とした気分を振り払うようにわざと声に出して、写真立てを指でつつく。
「今度は私より長生きしてくれるひとがいいわ」
涙をぬぐいながら、彼女は立ち上がり、定位置に写真立てを戻した。





fin




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非公開コメント

初めまして。
いつも、楽しませて頂いています。
クローディアさん、大好きです。
基本ヒカミサですけど、クローディアさんは私の永遠の憧れの人です。
あの頃、いつか私もクローディアさんのような女性になれたらいいなぁと、密かに思っていたものですが、現在思いっきりかけ離れていて情けない・・・。
クローディアさんとフォッカー氏の、大人の恋愛が好きでした。
ロイを忘れる事は無いでしょうけど、いつか、新しい恋に出会って幸せになってほしいですね。

> ひねぼーさん

はじめまして~♪
そして楽しんでいただけてうれしいです。

クローディアさん、ほんとに素敵ですよね。
当時は私も、大人の恋愛だわ、って思ってましたが、
その年齢をとっくに超えて、私のほうが大人だよ、と
さみしーく思う今日この頃です。

あの二人は、輝と未沙のもう一つの結末、
というようなことを何かで読んだのですが、
なんちゅう悲しいことを!と拳を握りしめてしまいました。
でも、別れは誰にでもあることですから、
そういう意味では「死別か。浮気で離婚じゃないなら、よし!」と(苦笑)

ほんとに彼女には素敵な出会いがあることを、
心から願ってしまいます。

また遊びに来てくださいね~(^^)/

> ぱよぷーさん

自分もまだ亡き人への想いを抱きながらも
友達の相談にもさりげなく乗って、
後押しまでしてあげる、本当にいいひと。

どんなひととその後の人生を歩くのか、
それを考えるのもまた楽しいですね~♪

> VF-4さん

彼女にとって、フォッカーは唯一無二の存在だと思います。
生きていくうえで、人は変わっていくもの。
だから別なタイプのいい男と出会ってほしいなあ。
そしてクローディアさんこそ、年下男が似合いそう♪

マックスの反応、面白そうですね~っ。
どこかで書きたいです。
どこかといつかはまだ未定ですが・・・(汗)
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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