SS <apollo> 6 (完)

ども、ぶいです。

マクロス本、もう一冊届きまして、ななめ読み実施中。
マクロス史がまとまってる記事もあったり、参考になります。
今回はこのまま進みますが、
いつか、ちゃんと踏まえた話が書けるといいな。
しかし、他のシリーズ見る自信がないわ~(汗)
SFの世界に、頭がついていけないのですよ(大汗)
昔は見られたんだけどな。

さて、<apollo>最後です。
のろのろしてると6月来ちゃう~(>_<)




* 戴いたコメントにお返事をしました(5/22)(5/30)('15/2/27)





<apollo> 6





「おかえりなさい」
ロックを解除して、未沙の部屋の扉を開けると、
疲れをにじませた彼女は、向かっていたデスクから体を起こし、
やさしく声をかけてくれた。
「今日も激しい一日だったね」
ソファに腰を下ろすと、吸い込まれるように体が沈み込む。
俺も疲れているらしい。
訓練も出動すらないのに、この体たらくだ。
「軽い打ち合わせのつもりだったのに、
あそこまでヒートするとは思わなかったわ」
使っていたパソコンをスリープにして、未沙が隣に座る。
肩に彼女の頭が乗る。
寄りかかってくるあたたかさが心地よい。
「こわいの」
小さな声で絞り出すように、こぼされた弱音。
彼女の表情は見えないが、乗せられた頭に頬を寄せる。
「なにが?」
「いろんな事態を想定するわ。
つきつめていくと、たいていのことは解決する方法も思いつける。
だけど怖いのは消えないの」
俺の腕は、ぎゅっと、強く握られる。
「私の判断が、たくさんの命を左右することの重さかもしれない」
「そこにたどり着くまえに、みんなで話し合うじゃないか。
艦長独断なんて、そんなにない状況じゃないの?
俺よりも、ブリッジで直接総司令の姿を見ていた、君の方がわかるだろ?」
未沙の顔を覗き込むと、
小さな子供が迷子になった時のような、心もとない様子を浮かべている。
視線を合わせて、言った。
「俺もいるよ?」
軽く額にキスをする。
「やっぱ、頼りない?」
未沙は少しだけ表情を緩めた。
「あなたがいるから、大丈夫」
未沙はゆっくりと俺の首に腕を回し、腕の中に納まった。

甘えてくれる未沙を抱きしめる。
あたたかくて、やわらかい体。
シャンプーか、なにかわからないけど、ほのかに花のかおりがする。
いつもならそのままキスをして、
躰を重ね合わせたい衝動にかられるけど、
今日はこのまま彼女を感じていたい。
離れることもなく過ごしていたい。
彼女の豊かな髪に、顔をうずめた。

感傷的な気分に流されるまま、
文字通り、未沙を膝の上に抱いて寝入ってしまい、
身体のしびれで目が覚めた。
身じろいだときに発した声で、未沙も目覚める。
「そんなに時間、経ってないわね」
「でもしびれてっ・・・触るなっ」
にぃっ、と子供っぽく笑った未沙がしかけてくる攻撃に、
ゆっくりすぎるくらいの速度でしか動けなくて、かわせない。

こんな他愛のない時間が、あっけないほど簡単に失われる。
失われた人は二度と戻ってこない。

今、ともに暮らしているゼントラ人は、
始めは敵であっても、マクロスとともに、ボドル基幹艦隊を相手に戦ったのだ。
マクロスにいた人々は、経過がわかる。
亡命してきたマイクローンたちとも関わりがあった分、
ほかの地域の人々よりも受け入れる素地があった。
月のアポロ基地と地球のシェルターで生き残った人々にとっては、
突然襲われた災いの元凶でしかなく、
メガロードでは未沙の次の立場に就く、
松浦少佐の口から直接聞いてしまったことで、傷の大きさを思い知らされた。
地球を焼き払った者たちとは違うといわれても、
地球人と祖先を同じくする人々だと伝えても、
大切なひとをなくしたいたみは癒されていない。
つらく当たられれば、ゼントラ人にも感情はあるから、
戸惑いも怒りも生まれる。
彼らにしても、それは理不尽な言いがかりでしかない。

成体で生み出され、戦うことしか知らなかった彼らに、
戦い以外の人生があること、大切にしたいひとやものに出会えることを、
どんな風に伝えれば、理解してもらえるのだろう?
だれもがミリアやエキセドルのように、
地球人の文化になじめるわけではないと、俺は思う。

そしてこんなに冷静に考えられるのも、となりに未沙がいてくれるからだとも。

『大切なだれか』を失わなかったから、奇麗事が言える?
いたみを知る者しか、語ることが赦されない?

可哀想比べを始めたところで、事態はまったく変わらない。
意図せず、年齢と器にそぐわぬ高い役職を得てしまった、
俺にしかできない何かがあるような、
そんな気がしないこともないが、それが何なのかわからない。

「輝?」
未沙に覗きこまれて、我に返る。
「腹減った」
もう!と未沙は口を尖らせた。
しかし、ごまかした気配を感じているようで、不安そうな色が滲んでいる。
「会議ばっかりだからさ、なんか調子狂う。
頭使うより、訓練してるほうがいいよ、俺は」
「これから、もっと増えそうよ。
あなただってもう、少佐になるんだから」
「・・・先輩と並んじゃうんだな」
大きく見えたあの背中に、自分が近づいている実感が沸かない。
「フォッカー少佐もすごい業績を残されたけど、
あなただって負けてないと思うわ」
真顔で未沙が言う。
「もっと自信をもって」
うん、と頷いて、目を伏せた。
自信なんて、バルキリーの扱いくらいしかない。
パイロットたちをまとめ上げることも、
隊を作り上げることも、不安だらけだ。
「私もそんなに偉そうなこと、言えないのだけど」
未沙は静かに微笑む。
「行けるところまで、行きましょう」
「ああ」
俺も顔をあげる。
「とりあえず、今は食堂まで」
未沙が、くすくす笑いながら差し伸べてくれた手をつかんだ。

部屋を出ると、自然に手は離された。
ならんで歩いている、この自信満々な彼女も、
不安で泣きそうになりながらも戦っている。
いつもは余裕に満ち溢れてるヤツも、押さえきれない感情を持っている。
俺に何ができるのか、見当もつかない。
歩きながら、手が触れた。
そのままつなぐと、未沙は驚いてこちらを見たが、俺は素知らぬ顔で強く握る。

ふと、昨晩聞いたあの曲が頭をかすった。
おぼえていたい。
握った手のやわらかさ。
照れながら歩く、未沙の横顔。

この手をずっと離さないように、今よりも強くなりたい。






fin





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No title

> ぱよぷーさん

すてきな言葉をありがとうございます。
この先、どんな風に進んでいくのかは、
SS始めた当初に、頭に描いていたことなので、
そこまでたどりつけるか、正念場になっていきます(汗)
・・・踏ん張らねば。

パーメモ片手にやっていましたが、
他のを見ると矛盾が・・・あれれ?
ただいま、大混乱中です~(-_-;)

No title

> ゆばさん

いえいえ、読んでくださるだけで、うれしいです!!
ありがとうございます。

22歳で艦長、どれだけ重圧なんだろう、と
この齢になったからか、思います。
だからちゃんと「支えて」ほしいですよねっ!!←力説
でも20歳で防衛隊長も重たいなあ。
それだけ人材不足なのか!?
しかし若いからこそ、重たいものも持てるように成長していくのでしょう。
そして数年のうちに、おとーさんにまでなっちゃうんだもんな~(感無量)

ある本に「輝は戦争の中でも成長しない」ってかいてあって、
成長しなかったら、人なんて束ねらんないんだよっ!!
っていう、私のひそかな抵抗の回です(笑)



No title

> びえりさん

恐縮です。
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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