SS <song for you> 1

六月も後半に差し掛かりますね。
そしてこの一か月、SSのUPがないという・・・(大汗)
大変ご無沙汰しておりました。
一回ペースが崩れると、勢いがそがれるというか、
こねくり回し倒して、全部削除したくなったり、
大部分削除してみたり、戻してみたり(苦笑)
腰が引けるというか、UPするのに勇気がいる~っ。
モノゴトはノリも大切ですね。

初心に戻って、心機一転。
それでは、参ります!!




* 戴いたコメントと拍手コメントにお返事しました。(6/24)(6/28)(6/28pm)










<song for you> 1



輝たちが、アポロ基地から地球に戻って一週間が経つ。

その日のランチタイム、輝は食堂でクローディアと未沙を見つけた。
クローディアが先に気づき、さそわれるがまま未沙の向かいに腰をおろす。
ふたりは食事を終え、コーヒーを飲んでいるところで、
話題はアポロでのことからはじまり、
そういえば、とクローディアが結婚式のことを切り出した。
招待状を出し、会場のレストランは押さえ、
大まかな料理の内容までは決めたことを未沙が伝えると、
クローディアが呆れた声をあげる。
「まだそれだけなの?もう一か月もないのよ?
ねえ、未沙。
あなた、まさか礼装でいいとか思ってない?
気に入ったドレスなんて、そんなに簡単に見つかるものじゃないわよ」
「ドレスねえ・・・ほんとにできあいのでいいのよ」
大袈裟にする気はないので、意外だといわんばかりに未沙が応える。
「女の子なら夢見たでしょう?お姫様になれる日なのよ?
一生に一度じゃない!」
「だって、今、それどころじゃ・・・」
未沙の言葉を遮り、黙々と食べ続ける輝に視線を走らせた。
「一条君、このヒトのこういうところ、知ってるでしょう?
どうしてひっぱってでもお店に行かないのっ」
「お店!?・・・しらない・・・です」
咀嚼してる最中に話を振られ、誤嚥しそうになりながらも輝は応えた。
クローディアは、長く息を吐き出す。
「これから本気出して巻き上げないと、間に合わないわよ。
指輪は?」
輝は勢いに押され、腰が引けた。
先輩につきあえただけあるなあ、と妙なところで感心しつつ、首を横に振る。
「サイズの調整があるから、そこから行きましょう。
つぎ、ドレス。
二人でいける?未沙、大丈夫?」
未沙は眉を寄せる。
輝についてこられても、うん、とか、ああ、の連続で、
最後は、あんたが好きなのでいいんじゃない、となることは、
数少ない経験でも想像できた。
「男なんて、こんなとき役に立たないわよ。
よかったら、私が付き合うわ」
未沙の顔が明るくなる。
「ほんとに?お願いしてもいいかしら?」
クローディアは満足げに微笑んだ。
「もちろんよ!
一条君、あなたも一緒に行って、その時にお衣装、決めましょうね」
輝は圧倒され、こくんこくん、とうなずくことしかできなかった。
未沙がガツガツ押してくるなら、口応えもできるのだが、
いつもはおおらかなクローディアの本気に戸惑う。
「式の進行の段取りとかは?」
未沙と輝はバツが悪そうに視線を合わせる。
「・・・まだなのね」
こめかみを人差し指で押さえながら、彼女は続ける。
「そんなことだろうと思ったわ。
ウェディングプランナー、頼みなさい」
「だから・・・ほんとに小さなね、報告っていうか・・・」
「あなたたち、飲み会と結婚式は違うのよっ」
小さな声で未沙は反論したが、みなまで言うまでもなく、遮られた。
所在なさげに、こまったね、とアイコンタクトを取る二人の様子を見たクローディアは、
ちいさくため息をこぼした。
一言に結婚式と言っても、二人には具体的なビジョンがないのだろうと、彼女は読んだ。
マクロスに乗る前はまだ十代だし、親の付き合いで参列したことはあるだろうが、
身近なところで結婚式を挙げたのはマックスとミリア、参考になるわけがない。
面と向かって話し合うのも気恥ずかしく、ここまでひっぱったのではないか、と、
ままごとみたいでかわいらしい。
人生の一大事を、びしっと決めたところまでは、凛々しかったのだけどね。
クローディアは腹をくくる。
ケータイを取り出すと、二人の予定を確認しはじめる。
やりとりを聞きながら、未沙と輝は再び目を合わせた。
「有休取れたわよ。
これからやっちゃいましょうね」
にこやかに告げたクローディアは、コーヒーのカップを持ち、
颯爽と立ち上がった。

さすがにクローディアはすぐにオフというわけにもいかず、
ドレスを選ぶ店で待ち合わせることになった。
そして、どうしても仕事が気になる未沙がデスクに戻ると、
すでにクローディアから連絡が入っていた松浦に、
今日は絶対呼び出さないから、さっさと帰れ、と告げられる。
「店、予約しただけって、あと一か月だぜ?
なかなか肝が据わってるね、あんたら」
感心してるんだか、呆れてるんだか、わからない様子で、彼は腕を組んで言った。
「そんな時間がなかったことくらい、一緒にいたんだからわかるでしょう」
力なく輝が応える。
「ま、ラサール姐さんが乗り出したんなら、あとは速そうだな」
数分前の出来事を反芻して、輝も大きくうなずく。
「だーかーらー、早瀬さんっ!
そっちはいいから、早く帰ってっ!!」
男二人のやり取りの合間を惜しむように、
パソコンを開いた未沙を見つけて、松浦は声をあげた。
周りがくすくすと顔を伏せて笑っている。
「隊長、連れてって。命令だ」
イエッサー、と、輝もうなずきながら、
不服そうな未沙の腕を引っ張って部屋を後にした。

入籍を済ませたのち、家族用の宿舎に引っ越してからの暮らしは、
未沙が家事をし、輝も自分のできることはやるという、
今までとほとんど変わりがないものだった。
これといった実感がないのは、
未沙がまだ「早瀬未沙」で仕事をしているせいかもしれない。
結婚指輪もなく、でも不便もなく、今の暮らしに満足している二人には、
結婚式をするといっても、
親しい人たちにお披露目程度のカジュアルな形を描いていたので、
準備は直前で大丈夫、そんな気持ちだった。

そして改めて式の準備を考えたとき、未沙が真っ先に思ったのは、ドレスのこと。
生家に飾られていた両親の写真。
上品なマーメードラインの白いドレスの母と、軍の礼装の父。
そして、日本人らしく羽織袴姿の父と、鮮やかな朱色の打掛をまとった母。
今はもう見ることはできないが、未沙の心の中に鮮明に焼きついている。
子供のころ、夢見たのが「お父様のお嫁さん」だったのは、
この二枚の影響が大きいかもしれない。
真っ白いドレスを、輝のためにまとう。
未沙は思わず頬を赤らめ、甘い想像を振り払った。
お姫様になれる日、ね。
・・・私でもいいのかしら?
女の子の、ふわふわとした憧れに、気後れしてしまう。
そういうのは、ミンメイやシャミーのように、
可愛げがある子のものだと思っている。
しかし、宇宙に旅立つ日もそんなに遠くなく、
そろって顔を合わせるのは、もう二度とないかもしれないと思うと、
新しい生活を迎える前に、楽しいひと時を過ごしたかった。
しかし、結婚式を終えた六月の半ばには、火星までの試験航行、
七月に入れば地球に降り立ち、移民たちの受け入れが始まり、
メガロード本艦の状況、艦内の街の建設の進み具合、
連携する二艦のゼントラ艦との訓練など、確認しなければならないことは数多い。
未沙は全体の確認と、軍関係の調整が主な持ち場だが、
直接民間がからんでいる松浦はもう少しキツイ状態だろう。
ほかのスタッフにかかっている業務量も通常よりは多いはずで、
私事のために時間を使うことに申し訳なく思ってしまう。
割り切れと言われても、未沙にはそんな器用なことはできない。

一方、輝も、火星での松浦の発言から、華やかな祝い事に気後れしてしまい、
未沙が仕事に夢中になっていることをいいことに、放置していた。
そして、ある言葉から心の中に鮮やかに蘇った、今よりすこし、昔の出来事。
『結婚式でも、やりますか』
スカーフをかぶっただけなのに、清楚な花嫁になったミンメイ。

彼女を選ぶこともできた。
だけど未沙は、自分にとって、かけがえのない存在。
二人とも苦しめたのに、どうしてこんなことばかり思い出すのだろう、と、
自分の煮え切らなさに呆れてしまう。
未練はないはずなのに。
しかも、未沙に結婚式を提案したのは、自分の方だ。
輝はなるべくそっちに考えをとばさないように、日常に紛れ込んでいた。
幻を振り切り、今だけを見つめるように。




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No title

14.6.22 22:09 さん

ごめんなさいっ。お返事、難しいです(汗)
先がばれてしまいます~(大汗)

「愛おぼ」の小説は、なんだか中途半端っぽくて、
それでも映像媒体(ビデオ等)が手に入らなかった30年前、
貪るように読みました。
そんなもんで処分したのにかかわらず、
買い直したという思い出の一冊です。
最後に「最終決定ではありません」といった注意書きがあったので、
輝と未沙が地球で頑張るところを今は読みます。

未沙とミンメイ、どちらでもよかったわけないですよね。
輝、そこまでひどくないと私は思います!!!
制作現場の大混乱ぶりがうかがえるエピソードとしてとらえることにします♪

No title

> ぱよぷーさん

たいへんおまたせしました(汗)
ご期待に添えるようがんばりたいですが、
きっとね~、史上最地味だと思います。
いや、目指しているのかも!?

書いてけし、消しては戻して、
進みやしませんわ~(/_;)

No title

> 拍手コメント Nさん

うふふ、お好きですか~( *´艸`)
私は、ケースバイケースです~(#^^#)

No title

> ゆばさん

うれしいお言葉、ありがとうございます♪

かわいいところがあるんだけど、
そういう素顔を見せないのが未沙だなぁって書いたので、
ほんとにうれしいです!!
輝は、未沙の「常識」とか「建前」が通用しない唯一の相手だから、
うまく行くのかな、など、つらつら考えてしまいまーす。

なにはともあれ、史上最地味結婚式までたどりつけるよう、
がんばります!!






No title

> VF4さん

名より実、ではないですが、
もう、一緒にいるんだからね~、いまさら(照)
って感じていただけたならうれしいでーす。

輝も大人とコドモを行きつ戻りつ、ってところです。
20歳男子、まだまだ育ちざかりってことで
ゆっくり大人になってもらいます。

映像で二人の晴れ姿。
いいですね~!
ないかな~?
ない・・・ですよね(涙)
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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