SS <song for you> 3

ども、ぶいです。

今月は更新がほんとに少なくて、という状態だったので、UP~♪

ケンカさせて仲直りの繰り返しだなあ、と思いますが、
まあ、人生そんなもんさ~!と考え直しまして・・・。
ずーっとこうだといいね~って時も、ちくしょう、この野郎!って日もあるしね~。

そんな話ばかりですが、楽しんでいただければうれしいです。




* 戴いたコメントにお返事しました。(7/2)(7/3)


<3>





フィッティングルームの脇に、座り心地の良いソファがあった。
サイドテーブルには、コーヒーが置かれ、輝が沈み込むように座っている。
・・・一時間か。

私服のクローディアはすでに店について、ドレスを眺めていた。
後ろ姿を見ると、すこし心がいたかった。
・・・そのときは。
お友達もご一緒にいかがですか?
店員の言葉に、
着るだけだけどいいかしら?
やっちゃいましょうよ!
と、平日真昼間で他にお客がいなかったのをいいことに、
がっつりとファッションショーが開催されていたのだ。
観客役は自分ひとりなので、とりあえず感想のひとつやふたつは言わないと、
と思っていたのだが、何枚も何回も繰り返されると、みんな同じに見えてくる。
もーーー、なんでもいいから・・・
泣きが入りそうになりながら、呼び出しでもないかとケータイいじくっても、
強力な根回しのおかげか、びくりともしない。
「ねえ、どうなの?」
白いシンプルな細身のラインのドレスをまとった未沙が、
うんざりしている輝の格好が気に障ったようで、腰に手を当てて問う。
「え?あ・・・どうって・・・」
「ちゃんと見てたの?」
「うんうん」
ごまかすような輝の態度に未沙の声が硬くなっていく。
「あなたねえ、ちゃんと選んでって言ったでしょう。
なんのためにここに来たと思ってるの?」
やろうって言ったのは、たしかに自分だけど、
まさかこんなオプションがつくとは思わなかったんだよっ!
「いっぱいあるから、わかんないよ」
とっさに出た言葉が、あまりにガキくさくて、
先輩やマックスならもっと巧くやるんだろうな、と、情けなさが増した。
争う気配を感じたのか、
店員が試着した姿を撮影した画像が入っているタブレットを輝に渡す。
「新郎様は、みなさんおなじようなかんじですよ」
店員は小さな声で輝にささやいたので、後ろめたさが少しだけ消えた。

私服に戻ったふたりが、輝とタブレットを囲む。
「で、一条君、どれが好き?」
クローディアがやさしく問う。
言い渋る輝を見て、未沙が口を開こうとしたが、クローディアが止める。
未沙の選んだドレスは、どれもシンプルで、
実年齢よりもちょっと大人びて見えるデザインが多かったのだ。
「じゃあ、こうしましょう。
一条君のイメージに合わせてドレス、決めてみない?」
この状況で嫌といえる人物は、そうそういない。
言われるがまま、新郎用のコーナーに連れていかれた。
そこでもう一度、輝は地獄を見る。

「新郎様、お若いですから・・・」
店員はせいいっぱいフォローしたつもりだろうが、肩の線が震えていた。
クローディアに至っては、物陰で吹き出している。
未沙だけが真剣なまなざしで、もっと他のはないのか、
つるされている服を物色している。
・・・そんなことだと思ったよ。
上を向いて長くため息をつくと、クローディアが平常を取り繕いながら言った。
「あなた、礼装借りたら?式典用のヤツ」
「いやよ!」
未沙が間髪入れずに答える。
「それはそれ、これはこれでしょう?」
なんでもいい、これが終わるなら、
礼装でも宇宙服でも着ぐるみでも、なんでもいいよ。
口先まで出かかったけど、未沙の熱意が黙らせた。
彼女には彼女なりの『夢』があることを感じた輝は、
もうちょっとがんばろうと決めた。

まさか、こんなに手間取るなんて。
未沙は少し焦りながら、新郎用の衣装を眺める。
自分より二つも年下で、体型はともかく、顔立ちが若く見える輝が着ると、
借り物を着ているようで、どこかちぐはぐなのだ。
二人並んだらバランスが悪いことこの上ないことは、
悔しいから口には出せない。
あなたがもうちょっと大人っぽかったらいいのに!
喉まで出かかった一言を言い出さないのは、
退屈であろう衣装選びに、口答えひとつせずつきあってくれているから。
未沙は店内を見回す。
これだけあるんだから、一枚くらいは。
似合わないフロックコートを着た輝を横目に、未沙はまた衣装の中に戻る。

店の奥から出てきた店員が、担当者に耳打ちをした。
彼女はうなずくと、三人に向き合い、
新作の衣装がたった今、届いたので、そちらはどうか、と提案し、
未沙は即座にうなずく。
その衣装が差し出されると、クローディアに促され、二人は試着室に入った。

「いままでのなかで、一番素敵よ」
クローディアは目を細めた。
どこの国とははっきりとわからないが、民族衣装を思わせる、
今までにない斬新な、しかし気品があるドレスは、
いつもとは違う雰囲気の未沙に仕立てた。
また、シンプルな白いスーツは、薄い水色で衿が縁どられ、
輝の若さが新鮮に映る。
お互いを眺め、そして自分の姿を、二人並んだ姿を確認し、やっと輝は微笑んだ。
「これにしたいわ」
応えるように未沙は告げ、二人は見つめあいながらうなずいた。

これで終わった、と輝は試着室へ向かおうとするも、止められる。
「やはりもう一枚、お色直し用に選ばれた方がよろしいですよ」
店員の言葉に、まだ続くのか、と、輝は固まった。
「はっきりおっしゃいな、一条君。
今まで未沙が着たドレス、好みじゃないんでしょう?
今度はあなたが着せたいのを選んでみたら?」
歯に衣着せぬクローディアの一言に、輝も観念する。
店に入った時から気になっていたが、未沙の好みではないだろうと、黙っていた。
未沙は怪訝そうに、輝を覗きこむ。
「・・・とりあえず、なんでも着てみるわよ?」
じゃあ、あれ、と指さした方を見て、未沙は目を見開いた。
「あのね、私が着るのよ?わかってる?」
「じゃ、いい。未沙がいいのにすればいい」
やっぱりな、と、照れくさいやら、バツが悪いやら、輝は不機嫌に下を向く。
「もー、グタグタ言ってないで、さっさと着なさい!」
クローディアがさっさとドレスを掴んで、未沙に手渡し、
そのまま試着室まで背中を押していき、扉を閉めると、
輝を振り返り、ウインクをした。
「私もあれ、いいなって思ってたわよ」
しばらくして未沙が出てくる。
淡いピンクの、ふんわりとしたドレスは、
彼女の隠していたかわいらしさを盛り立てたが、
いままでの自分が持っていた雰囲気との違いに、戸惑いながら立っている。
見つめる輝は自然と笑みが零れた。
「・・・変じゃない?」
おどおどしている未沙に、首を横に振って見せると、彼女はふわり、と微笑んだ。

試着したドレスを店員に手渡す。
「いままでお試しになられたドレスも、とてもよくお似合いになってましたよ」
店員の言葉に、未沙も応える。
「私の中でドレスは、あのイメージだったので、
まさかこんな感じに決まるとは思っていなかったんですよね」
「お好きなんですか?」
「似ていたのを母が着ていたんです。
両親の写真、ずっと飾ってあったので・・・」
結婚式なのに、準備に親が来ないのは、今の時代、めずらしいことではない。
店員も野暮なことを口にすることはなかった。
輝とクローディアは顔を見合わせる。
テーブルの上に置いてあった、
画像が入ってるタブレットをクローディアが手早く繰り、
一番最初の画像を開き、輝に見せる。
「心当たり、ある?」
輝は無言で首を振る。
「・・・残ってないのね、きっと」
クローディアは目を伏せた。
そして輝にタブレットを手渡す。
「いますぐ、ここから一枚選んであげて。
未沙には内緒よ」
彼女の意図が呑み込めた輝も、大きくうなずいた。









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 * この回で二人が決めた二枚のドレスは、
  「美樹本晴彦セルワークス」に収録されたものを想定しました。
  ピンクのドレスはともかく、
  キャンドルを点灯している衣装をどう表現したらいいのか・・・(汗)
  気になるかたは、どうぞお探しになってくださいね♪←なんて不親切な!!
 
  白いドレスについては、出典はありませんので、皆さんのご想像にお任せします。
  










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No title

> ゆばさん

ごめんなさい!
一回UPしたのを、操作ミスで消してしまいました(大汗)



せっかくなんだから、ビデオとか回してほしいですよね~、って
それを輝に望むのは無理ですね~(^_^;)

輝がスーツ似合わないのは、まだ若いからだと信じたい私です(笑)
フラッシュバック2012のころなら・・・いけるか、な??

セルワークス、
御大の描いた未来世界は近未来じゃなくて、超未来だったか(苦笑)
など思いつつも、結構見てしまう一冊です。
大きさがいいのもあります。
こそっ、と見るのにピッタリ(*´▽`*)

今月中に式が挙がるようにがんばりまーす♪






No title

> ぱよぷーさん

和装、残ってないでしょうね~。
ある本では、南アタリア島は日本領だから、
可能性もありそうだけど・・・
きっと綺麗だと思います。

ふたりのウエディングスタイルは
垣野内さんが描かれたのがもう一枚、ありますよ♪
って、私もここで教えて戴いたんですけどね(^_-)-☆
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

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ご活用ください♪

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