SS <song for you> 8

ども、ぶいです。
七月も終わりが見えてきた!
ほんとにさらさらと時間が過ぎていくので、
やりたいことはしっかりやらねば、と思います。
というわけで<8>をUP。

楽しんでいただければ、うれしいです。



* 戴いたコメントにお返事しました(7/27)(7/27pm)


<8>





「ねえ、ここって、この前みんなで飲んだところでしょ?」
「個室がいくつかあったし、ホールもわりと大きかったわね。どんな風になるのかしら」
「美味しかったし、予約取れてよかったわね」
にぎやかに明るい声が向かってくる。
クローディアはゆっくりと立ち上がった。
シャミーが気づいて手を振る。
「私たちが一番だと思っていたのにぃ」
「ばかねえ、そんなわけないでしょう。
それより、花嫁さんのお仕度どうですか?」
シャミーをなだめながら、ヴァネッサはたずねた。
「順調に進んでるんじゃないかしら?そろそろ中にいれてもらえるかもね」
三人と合流したクローディアも、玄関をくぐる。
特別なしつらいに歓声をあげながら、四人は未沙の準備が行われている控室にむかった。

そして輝もやってくる。
緊張のない、穏やかな顔つきで訪れ、
ニッチの上に飾られたフレームに一瞬驚き、目を細めて眺めるが、
係にせかされるように別の控室に案内された。

グローバルと、証人を務めるエキセドルも相次いで訪れ、
式の役割のある者たちは準備が整い次第、打ち合わせることになっていた。
やがて、輝と隊を組んでいるパイロット達も姿を見せる。
輝がかかわるバルキリー隊員はかなりの数がいるのだが、
彼らをすべて招待すれば、
未沙の立場の関係上、軍の上層部も彼らの顔を立てて呼ばねばならない。
大事になるのは本意でないので、
今回は直に組むふたりのみ、いわば、代表で来てもらった。
今の隊は隊員同士も関係が良好なので、輝と未沙の状況を理解してくれ、
式には参列しないものの、心から祝ってくれていた。

幼いコミリアも参列するため、
集合をぎりぎりの時間に設定されたジーナス一家が到着し、式は始まった。





招待客がすべてそろったのを見計らい、松浦は、テラスのテーブルセットで佇む。
親しいものばかりでも厳かな雰囲気に包まれている室内を、
窓からそっと覗くが、主役の姿は見えない。
歓声があがったようだから、花嫁が入場したあたりか。
彼が決めた進行は予定通りで、腕時計を眺めながらうなずく。

あの早瀬さんが、ねえ・・・
彼は、無表情、鉄仮面のイメージだった士官学校時代の未沙を思い返す。
お互い父親は軍人、
子供のころから何度かすれ違う程度のことはあったらしい。
というのも、子供のころの思い出話をした折に、
自分もそこにいた、という事実がいくつか出てくるのだが、面識はなかった。
しかし松浦は中学生のころ、父親に無理矢理連れていかれたホームパーティで
ライバー・フリューリングと同席することがあった。
同い年だから仲良くするよう紹介されたが、
優等生で気障くさい、いけすかねえヤツ、というのが松浦の下した判断で、
その後はなんの接触もなかったが、
士官学校に入り、未沙にまつわる話題の中で彼の名を聞き、記憶が結びついた。
16、7の女の子が、感情をなくしたロボットのように訓練に打ち込む姿を、
死んだヤツが帰ってくるわけないのに、なんでそこまでするのだろう、と
不思議に思いながら見ていたのだが、
誰かを恋い、求める力の凄さを、そのときの彼はわからなかった。
再会してからの未沙は、あのときよりも綺麗になり、怒りもすれば笑いもする、
ごく普通の女性になっていて心底驚いたが、今の彼はそこに希望を見出している。



そして彼が待っていた人物は、意外な顔を連れてきた。
「レイ、はじめてでしょう?私の従兄、カイフンよ」
ミンメイは、あっけらかんと元恋人を紹介する。
カイフンは礼儀正しく頭を下げた。
彼が行った様々な演説を、情報として目にしていた松浦は、
紳士的な態度に驚くが、相手に合わせて礼を返す。
なにより、数回しか会ったことのない人物にあまりにも似ていて、言葉が出なかった。

「ちょっと覗いてみるか?」
松浦はミンメイに問う。
そうねえ、と小首を傾げながら、彼女は少し考えた。
「準備もあるし、ちょっとだけ、ね」
ミンメイもうなずく。

静かに扉を開ける。
息をひそめて歩き出すと、ホールから永遠の愛を誓う声が聞こえ、
ミンメイは思わず足を止めた。



・・・結婚式でもやりますか?
閉じ込められて、食料も尽き果て、死の影を色濃く感じるころ、
自分を元気づけるために、輝が言い出した。
ただのごっこ遊びと、あのときは深く考えなかったが、今は心が痛い。
あの時、白いヴェールをかぶった自分の手を取ってくれた少年は、もういない。



ミンメイが立ち尽くしているのに気付いたカイフンは、
そっと彼女の肩に手を置き、進むよう促したが、彼女はちいさく首を振った。



証人を務めるエキセドルの言葉に、花嫁は目を閉じた。
大切なものに触れるように、ゆっくりと彼女の肩に手を置いた輝は、唇を落とす。
一枚の絵画のような光景が、ミンメイの瞳に映った。



輝がすこし体を起こすと唇は離れ、未沙は潤んだ瞳で彼を見上げる。
ふたりは視線をあわせ、やわらかく微笑みあう。





拍手が沸き上がる中、ミンメイも手を叩く。
そして、上を向き、強く瞼を閉じた。




振り返るミンメイは、カイフンに向けて笑顔を作る。
「兄さん、行こう」
小声で告げると、ゆっくりと歩き出す。
カイフンはもう一度彼らに視線を走らせ、ミンメイの後を追った。








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> VF-4さん

上手く伝わるか、悩まされた場面なので、
そんな風に言っていただけてうれしいです!
半年前にサヨナラって言われた相手の結婚式に出るのは、
過酷すぎるなあ、と思いながら書きました。

写真については、いまはノーコメントで(笑)
いろいろ想像してくださいね♪

> 拍手コメント JUNさん

ミンメイ像が変りましたか!うれしいなぁ~(#^^#)
オンタイムで見てた時は、
ミンメイ・カイフンにいい印象はなかったのですが、
この年になって見直すと、先がわかるからか(笑)
そんなに嫌な子でもなかったな~、って思えて、こんなになってしまいました。

そしてミンメイと松浦の出会いは、
ここでは「melody」以外に触れていませんので、
わかんなくて大正解ですよ~(笑)
松浦、気にかけてくださってありがとうございます!
この次の話にまた出てきますので、また見てやってくださいね(^^)/

プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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