SS <change>

暑い暑いと思っていたら、あっというまに涼しくなって、
涼しくなりすぎちゃって、現在軽く風邪気味です(^^ゞ
早めに薬飲んだから、どこか痛いというより、くしゃみがとまりません。
はくしょん大魔王がいたら、それは忙しいことだろう(苦笑)

友人が某動画サイト(有料)で『宇宙戦士バルディオス』を発見したとのことで、
これはちょっと見なきゃならんぞ、と私も行ってみたら、
『戦国魔神ゴーショーグン』を発見。
時間を見つけては、ポチポチ見ています。
小学生のころの自分に見せてあげたい~!!←凄い好きだった
時間のやりくりができないので、進みがほんっとに悪いのですが、月額いくらだし、
なんとかしたいなあ。

そんなことと並行して、ひとつお話できました。
楽しんでいただければ、うれしいです。



*戴いたコメントにお返事しました。(10/22)(10/27)




   change  







肩先を、雨上がりの風が通り抜ける。
閉じた赤い傘を、小気味よく揺らしながら、夜も更けた道を行く。


エスカレーターを駆け上がってきた彼女は、
大きな瞳を輝かせて、まっすぐ未沙に向かってきた。
相手は年下の女の子なのに、なぜか胸が高鳴ってしまう。
同性の自分でもこんなふうになるのなら、
年頃の男性なら、恋に落ちても仕方がないと思えた。
彼女の関心が自分に向けられていることが、心地よくて、うれしい。
こちらの弾む気持ちも、ミンメイは快く受け止める。
浮足立つことが少ない未沙が、
奇妙な熱に浮かされている感覚をおぼえながらも、
ミンメイに対する興味は、止められなかった。

小降りになった雨の中、赤い傘にふたり、肩を寄せ合いながら、
未沙が案内したのは、テーブルの間隔が広くとられ、
ソファーの背もたれも高く、隣の会話が漏れ聞こえるようなこともないが、
そんなに敷居も高くないカフェ。
ふたりで向かい合って話をするのは、あのエレベーターが初めてだった。

注文をしてから、ほんのすこしだけぎこちない空気が流れたが、
ミンメイが先に調子を戻した。
夏服がほしい、と、未沙が言うと、そこから話は広がり、
ミンメイが親しくしている美容師と連絡を取って、未沙まで髪を切ることになった。
「すごいわ。都合がつかないことも多いのに、今日は特別な日ね」
ミンメイは屈託なく笑う。


毛先をちょっと揃えてもらう、その程度しか考えていなかったが、
鏡を見ながらやりとりしているうちに、未沙の髪は肩先に切りそろえられた。
「こんなに短くしたのは、15くらいの時以来よ」
軽やかになり、すこし垢抜けたような気分を抱きながら、鏡の自分を見つめる。
たまたまヘッドスパにも空きがあったので、
施術を受けてフロアに戻ると、顎先まで髪を切り落としたミンメイがいた。
「未沙さんが素敵だったから、私もやってみたくなっちゃった」
がらりと印象を変えた彼女は、今までとは違う魅力を得て、未沙には眩しかった。
妬みのない、そのままの気持ちで未沙は微笑む。
「おそろいね」
ええ、とミンメイもうなずき、ケータイを取り出して自分に向ける。
「一緒に撮りましょう」
未沙は戸惑うが、ミンメイは手招きをする。
その場の勢いに押され、二人は頭を寄せ合い、画面に映った。


さすがにいい時間になってしまい、未沙は暇を告げ、そこを後にした。
雨はすっかりあがったが、路面には、まだ水たまりが点在している。
タクシーを捕まえようと思いながら大通りに出たが、タイミングが合わず、
自宅に向かって未沙は歩き出す。
奇妙な熱は、鼻歌を呼び、歩いていること自体が楽しくなって、
未沙の脇を、数台のタクシーが駆け抜けていった。


ふわふわと揺れる短くなった髪は、未沙の心をくすぐる。
なんていわれるかな?
なんて言おうかな?
輝の反応を想像しながら、赤い傘は揺れる。


ミンメイに頼まれたからさ。
輝のあの日の弁解を、未練があるのかと腹立たしく問うたが、
ミンメイと少しだけ時間を過ごしたおかげで、
今の未沙なら、輝が出向いた理由がわかった。
『ミンメイって子は、僕の手には負えませんよ』
1月のあの日、彼女の後姿を見ながらの、輝は言った。
幼いコドモが親に見せるような、すべてをゆるしている笑顔を、彼女は惜しみなく与える。
誰にでも平等に。
未沙と輝が私的な話を交し始めたころ、
彼はすでに、その笑顔が、自分にだけ特別にむけられたものでないと知っていた。
それが、すれ違う生活や会えない時間よりも、
彼を悩ませていたことを、未沙はわかっていたはずだった。
誰にでも出来そうで、しかし、簡単にできないことを、彼女は自然にやってのける。
それが『アイドル』になる素質なのかもしれない。
冷静になればなんでもないことに、囚われつづけていた自分が滑稽で、苦笑してしまう。



あとすこしで宿舎のエリアにさしかかるころ、未沙のケータイは着信を知らせた。
画面を見て、口許はほころぶ。
「今、どこにいるの?」
平静を装っていても、心配してくれていることがにじみでている声が聞こえる。
「さぁ、どこでしょう?」
悪ノリに近い、悪戯心が芽生えて、はぐらかす。
「ふざけてる時間じゃないだろ」
輝が苛立った様子に、ちょっとがっかりしながらも場所を告げると、ふーん、と返ってきた。
電話を切る様子はない。
動いてる気配を電話越しに漂わせながら、輝は話し出す。

輝が管理している、ミンメイがミスマクロスコンテストで獲得したファンライナーを、
メガロードでは使うこともないので、彼女に返そうとしたら、処分を任されたこと。
整備も全部自分が手をかけていたので、愛着があり、
大事にしてくれる人を探していたのだが、難航していて、
それでも今日、ようやく引き取り手が見つかったこと。
それがミリアの部下の准尉で、操縦だけでなく、整備も抜群に巧いこと。
今、電話で話すような急ぎの用事ではないと未沙は思ったが、
久しぶりに聞く輝の弾んだ声がうれしくて、相槌を打ちながら、足を速める。

「それでさぁ・・・」
未沙から近くもなく、それでもそんなに遠くもないところで、
救急車のサイレンが聞こえた。
話を続ける輝の後ろからも、同じ音がする。
「あなた、今どこにいるの?」
未沙は輝の話を遮り、周囲を見回す。
受話器からは、息づかいだけが聞こえる。
「ねえ、聞いてる?」
口調がきつくなる。
また、ケンカになる予兆だと知りつつ、未沙は止められない。
「きょろきょろしてないで、ちゃんと前見て、歩けよ」
受話器から聞こえる声。
未沙のほかに人影はない。
「前だってば」
街灯が道の両脇に並ぶ通りに、目を凝らす。
「わかった?」
暗闇から浮かび上がる影が、少しずつ大きくなった。

未沙は駆け出した。
赤い傘は激しく揺れる。


照らされた未沙を見て、輝は目を見開いた。
「どう?」
軽く左右に髪を揺らし、得意げに輝に見せる。
「・・・驚いた」
言葉を探すように、輝は応える。
「変かしら?」
未沙は眉を寄せる。
綺麗だ、可愛いと言われたあとだけに、輝の反応は不安を呼んだ。
輝は、そっと未沙の毛先に触れる。
「ずいぶんとまあ・・・」
次の言葉を待っても、ふさふさと触るだけで反応がなく、未沙は俯いてしまう。
やはりよく考えてから、短く切ればよかったと、少し後悔した。
「幼くなったね?」
意外な一言に、勢いよく顔をあげ、輝を見ると、焦ったように彼は続ける。
「昔の写真に似てたんだよ、小さいころの」
「だれの?」
「あんたの」
未沙は小首を傾げる。幼少期の写真は、一枚残らず灰になったはず。
輝は、あ、と短く声をあげる。
「結婚式で、総司令から戴いたんだ。
君と、総司令と、お父さんが写っているのを」
見せるの、忘れてた、と輝は鼻の頭を掻き、バツが悪そうに歩き出す。
慌てて未沙も、そのあとを追う。
肩が並んだ頃、帰ったら見せるから、と小さな声で輝は言って、未沙の手をつないだ。


赤い傘は揺れる。
気付いた輝は、あいてる手で傘を受け取り、クルクルと振り回す。
「もう!子供みたいよ」
コドモで結構、と、振り回し続ける。
「明後日、休みだろ?
手放す前に、ファンレーサー、飛ばしに行こう」
未沙は笑顔でうなずく。
「晴れるといいな」
「大丈夫。
雲の上は、いつでも晴れてるから」
輝は待ち遠しそうに、まだ濃いグレイの雲が居座る夜空を見上げた。






fin







back                                           next




スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

> ゆばさん

髪切ったはずみで仲直り~(笑)
なんの予告もなく、朝も昼も夕方も長かった髪が、夜にはバッサリ。
輝には衝撃だな~、と、思いながら書いちゃった(^^ゞ

「ミクロコスモス」と「レイニーナイト」の二人の帰り路が大好きなので、
ついつい目指してしまいます。
ずっとあんな雰囲気で、輝と未沙はいてほしいなあ。

そして輝、手じゃなくて、未沙の丸ごとをむぎゅってしちゃえ~って思ったのに、
上手いこと行かなかったことを、ここに書き記しておきます(涙)




> VF-4さん

髪が短くなった未沙は、
アニメージュのマクロスタイムスに出ていたイメージでーす。
ミンメイも、FB2012ではバッサリ切ってるし、
あの時代の流行でしょうかね~?

うぐぐっ、ファンライナーでのお出かけ。
いつか、書けるといいなあ、と思います。
すみません、明言できなくて(汗)
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

最新記事
カテゴリ
最新コメント
リンク
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム