SS <love and hate> 1


あっというまに今年も終わりが見えてきました。

先日、昼休みに同僚と「こ〇らせ女子度診断」をやりました。
結果、70パーセントという高い数字を叩き出し、
「妄想の恋愛よりも、現実の男性と・・・云々」という診断結果に、高笑い。
妄想できなくなったら、このブログ畳まなきゃね(笑)

そして今回の更新も、とりあえず18禁にしておきます。
義務教育中の人と、生徒手帳もってるひとは、やめといてくださいね。
でも大した内容じゃないから、
大人が、ふーん、と、読んでくださると大変うれしいです。




* 戴いたコメントと拍手コメントにお返事しました。(12/23)













   <love and hate>       1








漆黒の部屋に響く、女の喘ぐ声。
「うるせーんだよ」
吐き捨てた言葉とは裏腹に、彼の硬度は増していく。
四つ這いで腰を高くあげた女の、豊かな臀部をわしづかむと、彼は激しく動きだす。
息を継ぐように顔をあげた彼女の長い髪を無造作に引き、高く声をあげさせた。

女の、悦ぶ声を聞くたび腹が立つのに、欲望は止めることを許さない。
その部分だけは熱くたぎるのに、躰の芯は冷え切っていく。

終わりの時が見えてきた彼は、予告もなく彼女から離れる。
バランスを失い、崩れ落ちた白い背中に、自らの熱を吐き出した。

力なく横たわる彼女を見下ろしながら、彼はため息をつく。
誘われれば、誰でも相手にするが、捌け口以外の意義を見出せない。

「まだ・・・いて、くれます・・・か?中佐」
暗がりから、とぎれそうなか細い女の声がした。
彼は軽く鼻で嗤いながら、ベッドを降りる。
「いや」
さっさと服を身に着け、振り返りもせずに部屋を出た。

明るい廊下は、先ほどまでの出来事を絵空事に変えた。
完全に空調が管理されているアポロ基地の中であるにも関わらず、
彼は寒そうに身を縮める。

自然と足は、格納庫に向かう。
話し相手になるヤツが、いるはずだ。
勤務までは把握していないが、新型機を目の前にして、じっとしていられるわけはない。
それが度々、犬も食わない夫婦げんかの種になっていることも知っている。
向けられる敬礼を軽く流し、松浦は軽く笑みを浮かべ、歩を進めた。



「メール一本でこっちから行きますよ」
松浦が顔を出したら、気を利かせたのか、パイロット達は一歩下がった。
輝がひとり浮き上がったところを有難くいただき、佐官用のラウンジに連れ出す。
なんで俺が、という風情を隠さない、その素直さが快く、松浦はすこしだけ温まる。
「なんですか、話って」
最愛の飛行機から引き離され、仏頂面のまま、輝は問うた。
「なんだよ、俺が世間話したいって、そんなに迷惑かよ?」
わざと絡むと、輝は口を尖らせたが、運ばれたビールに黙って口を付けた。
「仕事以外で松浦中佐とかかわると、なんか起こるから、慎重にもなりますね」
「あんときは悪かったって。
まー、それのお詫びも兼ねてさ」
「・・・で、ここですか」
ため息交じりに輝はグラスを空け、お代わりを頼む。

満たされたグラスに替えられると、松浦は身を乗り出した。
「あのさ。
神話とか、伝説とか、どう思う?」
突拍子もない話に、輝は首をかしげる。
「リン・ミンメイ、使えない?」
輝の顔色が、変わった。
「それは、未沙も知ってる話ですか?」
険しい表情は崩さず、輝は問う。
「ミンメイを乗せよう、という提案はした」
「神話とか、伝説とか」
「それは言ってない」
「なんで俺に?」
「俺自身も迷ってるから」
ようやく輝の硬さが緩み、松浦は話を進める。
「普通に、あいつに乗るのか打診したこともあるが、はぐらかされたね。
あいつの両親は亡くなったけど、親同様の親戚もいるしな」
「どうして伝説だの神話だの、祭り上げるようなことを」
「メガロードの乗船希望者が少ない」
「そんなの仕方ないでしょう。強制できるものじゃない」
「足りないんだよ、明るい希望が」
松浦は視線を輝から外し、宙を見つめる。

「俺は」
輝はグラスを両手で握り、言葉を選ぶようにゆっくり話し出した。
「あの時は、あれしかないと思ったから、ミンメイに頼んだんですよ。
でも、そのことがマクロスの人々やブリダニク艦隊が命拾いしたことは確かだけど、
彼女の人生を狂わせてしまったようで、辛い。
だから、ミンメイは歌を愛する歌手のまま、そっとしてあげてほしい。
軍の都合で、担ぎ出すのは反対です」
最後は松浦の目を真正面から見据えて、輝は言い切った。
「だいたい俺は、あなたと彼女の関係が理解できない。
ミンメイが、なりふり構わず向かってきたのに、ごまかすようにキスして逃げて、
亡くなっただれかのために涙を流す、あなたの考えていることが、俺にはわからない」
松浦は、気持ちいいくらいに、痛い場所を突かれた。
「俺にも俺が、わからない」
薄く微笑む。
「地球が燃えてしまった、あの時の記憶がない。
全然覚えていないんだ」
輝が息を呑んだ。松浦は構わず続ける。
「どのくらい時間が経ったのか、そんなこともわからない。
どうして聞こえたのか、いきさつも今となってはどうでもいい。
あのとき俺を正気に戻したのは、マクロスから中継されてきたミンメイの歌声だった。
そこからの記憶しか、ない」
松浦は睫毛を伏せる。
「歌なんて、誰にでも歌える。
だけど、不特定多数の人間の感情に触れる歌を歌えるのは、限られたヤツしかいない。
あの日、歌ったのが別の歌手だったら、俺たちは今、こうしていなかっただろうな」
二人とも、それぞれ背もたれに寄りかかり、沈黙は再び流れ出す。

口火を切ったのは、輝だった。
「肝心のミンメイ自身が、乗るって言ってないですよね」
「だから相談してるんじゃないか」
「俺に!?」
「ほかにできるかよ。
軍でミンメイの素顔を知ってる人間は、おまえと俺くらいだ」
輝は再び口をとがらせる。
「松浦さんが誘えばいいじゃないですか」
「俺がか?」
「俺は妻帯者ですからね」
開き直った輝に、松浦が眉を寄せる。
「俺が乗ってくれ、って言ったら、意味が変わるだろうが」
「それで断られると困るから?」
「早瀬さんとは違うんだよ、あいつは」
「・・・なんとなく、わかります」
苦笑した輝はグラスを傾け、喉を湿らせる。
ちいさな音を立ててグラスを置くと、まっすぐに松浦を見つめた。
「ミンメイを、どう思ってるんですか?」
「オトモダチだよ」
輝は苦笑する。
「だれからも好かれるのに、ミンメイは」
「振った男がよく言うわ」
松浦もふて腐れるように、グラスを傾ける。
「死んだヤツも、歌ってたんだ」
輝は口元まで運んだグラスを、テーブルに戻す。
「重なるんだよ、時々。
見た目も性格も全然違うんだけど、
音楽が絡むと人が変ったように喰らいついてくるところは似てる」
彼女の話を、誰かにするのは初めてだということに、松浦は気づいた。

忘れてしまうことが、怖かった。
彼女の思い出が、面影が、ミンメイに上書きされるのではないかと、莫迦みたいに怯えた。
笑って、歌って、絡んできて、つっぱねると拗ねて。
生きているミンメイの、鮮やかな空気が、松浦を満たしていく。

輝はため息をついた。
「俺と逆だ」
自分の想いに浸ってしまった松浦は、顔をあげる。
「ライバーさん、ご存知でしょう?」
「ああ、何度か顔を合わせたことはある」
「俺、どっか似てます?」
松浦は記憶をたどるが、性別くらいしか共通点が見つからず、首を振る。
安心したように、輝は息をついた。
「カケラが残ってるんです。未沙のなかに。
読んでる本とかね」
輝は、いつもの彼よりも大人びた表情を浮かべた。
「俺に出会う前のことだから、しょうがないなあ、って。
彼も、未沙の一部なんだな、って思うしかないんです。」
先刻よりも表情を和らげた輝は、松浦を見る。
「ミンメイだって、わかってくれますよ。
俺は、生きている人間の方が有利でないと、困ります」
自分で言っておいて、輝は赤くなった。
酔いが回ったと、わざとらしくとぼけている。
松浦は、輝の気遣いがうれしかった。

「本当は、メガロードに乗せようと思って、近づいたんだ」
二人とも呂律があやうい状態ながら、会話は進んでいく。
「最初っから?
こーの、ひとでなし!」
「任務のためですからー、ワタクシ、任務が第一であります」
松浦がふざけると、輝も、ありえねー、と、声をあげて笑い転げる。
「だんだん調子がくるってくんだよ、あいつといると。
音楽が間に入ったのが悪かったんだろうな、俺の地が出てくる」
「やっぱり歌う人だったんだ!」
「違う!そのときいないヤツの穴埋めで、無茶ぶり。ドラム叩けとか、ギター弾けとか」
「すげー!それ全部できるの?」
「できるところまではな、のこりはエア」
ゲラゲラ笑う声は、次第に高くなっていく。
通り過ぎる士官たちは振り返り、意外な二人が酔っ払っている姿に驚く。
そして近づいてくる人物に、そっと頭を下げ、その場を立ち去る。

「ずいぶんとご機嫌のようね」
二人の前に現れた未沙の顔は、能面のようで、表情が読み取れない。
ソファの背もたれが高いとはいえ、気配を感じとった、周囲の席の者の酔いは一気に醒め、
帰り支度を始める。
おつかれさまでーす、と酔っぱらい二人は敬礼をし、
程度をわきまえなさい、と短く鋭く言い放った未沙が、宴を閉めた。



あてがわれた部屋のベッドに、大の字に寝転んだ松浦は、
先ほど別れたばかりの、未沙と輝の後姿を浮かべる。
気が緩んだのか、手をつなごうとする輝、
それを振りほどき、しっかりしなさいと叱り飛ばして歩く未沙。
そして、自分にもそんな時間があったことを思い出し、切なく哂った。

ベッドサイドに放り投げたケータイは、メールの着信を知らせて点滅する。
差出人だけ確認すると、中まで開かずに液晶を下に向けて置き直した。
いろんな感情が入り混じるが、酒の力にゆだねて、彼は眠りに落ちていった。




目が覚めて、ケータイを見る。
寝る前に届いたメールには、文章はなく、動画が添付されていた。

どこかの工場の跡地のような、ただっぴろい場所。
普段着のミンメイが、バンドのメンバーと音合わせを始めた。
ふと、違和感を覚える。
画面のなかでは、首を傾け、上を見上げたミンメイがカウントを取ると、
力強い音が響き渡り、カメラはレンズを引き、全景が映し出される。

ドラマーは、巨人サイズのゼントラ人だった。

松浦は、完全に目が覚めた。
鳥肌が立った両腕を、無意識に抱える。
初めて聞くこの曲は、ミンメイが新しく書き下ろしたものだろう。
繰り返されるフレーズに、やさしく包みこまれる。

生きている人間は、確かに有利だ。

かつては敵である、親も友も殺した相手と歌うミンメイの姿は、
揺らいでいた彼の進む方向を示した。
動画の再生を止めると、通話画面に切り替える。
コール三回でつながった相手から、かすれた声が聞こえた。
「隊長、あの話、進めるから協力しろ」
電話越しに慌てふためく気配がしたが、
返事を聞かずに彼は通話を切り、勢いよく立ち上がる。


そしてスケジュールを入念に確認し、シャトルを一台手配した。








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非公開コメント

No title

> ゆばさん

さし飲み対決ーーー(笑)

書きながら、このまま松浦が輝を押し倒したらどうしようとか、
バカーなことばっかり考えちゃった(笑)
未沙以外が相手だと、どうしても襲われるのは輝だな、
と思ってしまうのは何故なんでしょうね~?


彼が変わっていく様子を楽しんでいただけて、うれしいです。
もうちょっと続きますが、のんびり見ていてくださいね♪

No title

>敦賀屋バボさん

はじめまして、ぶいともうします。

情報屋さんはフットワーク命、ということで(笑)

未沙、手をつないでくれるといいですね~。

No title

> ぱよぷーさん

お待たせしていました(大汗)
ようやくUPできたよぉぉぉっ!!

輝は人に合わせるのが上手いと思うのですよ。
カイフンだけだよね、微妙な空気が流れるのは(笑)
たくさんの人たちに囲まれて育ったんだろうなぁと
勝手に想いを馳せてみました。

続き、のーーんびり待っててください(汗)
プロフィール

vt-102

Author:vt-102
ぶい、と申します。
30年前、夢中になった
『超時空要塞マクロス』
WOWOWの放送を見て、
当時の思いが蘇って大変中。

戴いたコメントは、すべて非表示にしています。

SSの目次を「SS menu」としてリンクに張り付けました。
ご活用ください♪

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